エカニット財政政策室長は4月9日、燃料価格の高騰による国民生活への短期的な影響を緩和するため、4月11日の閣議で具体的な救済策を提示する方針を明らかにした。対象は運輸業者、社会的弱者層、漁業従事者など、燃料費の上昇が直撃している分野に絞られる。
焦点となっていた物品税(サルパサーミット税)の引き下げについては、明確に否定した。税収の減少が医療・保健分野の財源に直結するためであり、減税による一時的な価格抑制よりも財政の安定を優先する判断である。物品税収入はタイの公的医療制度を支える主要財源の一つであり、安易な減税は制度全体の持続性を損なうリスクがある。
背景には、中東情勢の悪化によるエネルギー価格の急騰がある。ディーゼル価格は1リットル50バーツを突破し、南部の漁業や物流は深刻な打撃を受けている。救急ボランティアが出動を停止する事態も起きており、燃料高の影響は社会の末端にまで及んでいる。
エカニット氏は「危機を機会に変える」とも述べ、エネルギー構造の転換を見据えた中長期的な政策にも言及した。政府は既に精製マージンの大幅引き下げや石油買い占めへのDSI捜査など供給側への対策を進めており、今回の救済策は需要側、すなわち消費者や事業者への直接支援となる。
11日の閣議では救済措置の具体的な規模と対象が決定される見通しである。石油基金の赤字が590億バーツに膨らむなか、財源の確保と国民生活の安定をどう両立させるかが問われている。
