バンコクのエアポートレールリンク・マッカサン駅近くで5月16日午後に発生した貨物列車と公共バスの衝突事故について、ドライブレコーダーや防犯カメラ複数アングルの映像が公開され、事故の原因が「バスを含む多数の車両が踏切上に停車していた」ことだったと判明した。タイ国鉄(SRT)公式PRチームは陸上交通法第63条「踏切手前5m以上で停車・線路上停車禁止」を改めて警告。さらに、同じ踏切では事故以前から「信号待ちで線路上に停車する車両を電車が待つ動画」がSNSで共有されており、構造的・継続的な危険箇所だったことも明らかになっている。
事故の損害規模
バンコク・ラチャテーヴィ区マッカサン町のアーソク-ディンデーン通りで起きた今回の事故は、貨物列車が公共バス(206号系統)と乗用車・バイクに衝突し、バスが炎上した。死者は8人、負傷者約25人。さらに巻き込まれた乗用車は約5台、バイクは約3台が損壊した。バンコク中心部の街区で発生した近年最悪規模の列車事故となっている。
公開された映像が示した直接原因
事故直後、現場周辺の他車のドライブレコーダーや防犯カメラの映像が複数アングルで公開された。直前の状況は次のとおりだ。
公共バスを含む乗用車・バイクの多くが、信号待ちのため線路を跨ぐ形で停車していた。踏切のバリア(遮断機)はこの状態では動作せず、下りなかった。ちょうどそのタイミングで貨物列車が走ってきて、線路上の車列に正面から突っ込んだ。バスは衝撃で炎上、乗客が逃げる時間がなかった。
つまり、(1)線路上停車という違反行為が、(2)バリアの作動条件を満たさず、(3)結果として列車側も停止できなかった、という3段重ねの構造的事故だった。
同じ踏切で以前から起きていた異常
khaosodと khaosod 系のソーシャル投稿によると、事故が起きた踏切では以前から「信号待ちで線路上に停車する複数の車を、走ってきた電車が手前で停車して待つ動画」がSNSで共有されていた。今回はその「電車が待ってくれた幸運」が貨物列車の運行で再現されなかった形だ。
タイ国鉄広報チームは事故後の公式投稿で「自家用車・バス・バイクのドライバーは交通法を厳守するよう改めてお願いする」と発信。SRTとしては以前から再三注意喚起してきた箇所だったというニュアンスを滲ませている。
陸上交通法第63条と第62条
タイの陸上交通法(พ.ร.บ. จราจรทางบก พ.ศ. 2522)の踏切ルールは2段構えだ。
第62条:踏切で(a)バリアが下りている、(b)信号が表示されている、(c)交通官が列車接近の旗を出している、(d)列車接近音が聞こえる、いずれかに該当する場合、線路から5m以上手前で停車。
第63条:踏切に信号・バリアがない(または機能していない)場合でも、線路から5m以上手前で一旦停車し、左右を確認してから通過。
今回のケースでは踏切のバリア機能が線路上の停車車両により阻害されており、第63条の「線路上停車禁止」が中心的な違反となる。違反者には罰金1,000バーツ(約4,600円)が科される可能性がある。
関連背景
バンコク市内には鉄道踏切が意外と多く、特にスクンビット中央部・アーソク・ラマ9号通り周辺、東鉄道線(パヤータイ-マッカサン-フアマーク区間)には複数の信号付き踏切がある。在タイ日本人ドライバーが押さえておきたい点は3つだ。
第1に、踏切手前で前方車両が線路を跨いで停車しそうなら、自分は5m手前で必ず止まる。第2に、バリアが半下り状態だったり警報音が鳴っていても、線路上に車がいる時はバリアが完全には下りない仕組みになっている踏切が多い。第3に、タクシーやGrabに乗っている時、運転手が線路上に車を進めようとしたら一声かける勇気を持つ。今回の被害者の中には公共バスの乗客が含まれており、自分の運転だけでなく公共交通機関の利用時にも注意が必要だ。




