サムットプラカーン県の日本人シェフが経営するラーメン店「Kham Sanya Kub Moo Tua Nan(訳:あの豚との約束)」が4月21日、一時閉店することを発表した。SNSでのバイラル的な人気が引き金となり、店主が労働許可証(ワークパーミット)を持っていない実態が移民警察に把握された。
店舗はシーナカリン通りのバンチャーク・ガソリンスタンド敷地内にあり、日本人シェフが約8ヶ月にわたって営業してきた。約8ヶ月という運営期間からみても、決して短期間の試運転ではなく、常連客がつく規模まで育っていた。にもかかわらず、労働許可の整備は追いついていなかった。
バイラルのきっかけは、タイ人女性客がFacebookグループ「Ramen Lover Association of Thailand」にレビューを投稿したことだった。Google Mapsで偶然見つけたという同店の写真と食味評が、2,500件超の反応と1,000件近いシェアを集めた。続く投稿者からも高評価が相次ぎ、知名度は急速に拡大した。

人気上昇と同時に、移民警察の目にも触れた。4月20日に店舗を訪れた警察官に対し、シェフは労働許可証を提示できなかった。タイで外国籍の人間が就労するには労働許可の取得が義務で、飲食業も例外ではない。許可のない就労は最大で強制送還と再入国禁止の対象となり、違反に対する処罰は近年強まる傾向にある。
シェフはInstagramで4月21日から一時閉店すると告知した。再開については「情報が固まり次第知らせる」とのみ述べており、具体的な再開時期や法的手続きの詳細は公表していない。当日店を訪れた約10人の客は来店を断られ、うち1人は味を称賛して再開を期待する声をSNSに投稿した。
類似のケースは直近でも起きている。2026年初頭には日本人が経営する抹茶販売店が同じく無許可営業で摘発されており、バイラルで知名度が上がった結果として当局の関心が集まる図式は共通している。在タイの日本人事業者にとっては、SNS時代の「話題になった瞬間に本人確認される」リスクが現実の教訓として浮かび上がった形だ。
タイで飲食店を構えるには、労働許可に加えて商業登記、VAT登録、食品衛生許可、外国人経営規制(ForeignBusinessAct)の要件確認が伴う。小さな屋台のつもりでも「外国人が自ら調理・販売する」時点で許可は必須で、コストと時間を惜しむと今回のような結末に繋がる。タイで飲食業を始める際は、弁護士・会計士・BOIなど専門家の支援を最初に組み込むのが正攻法である。