ナコーンラーチャシーマー県スーンヌーン郡の街道沿いに立つ1本のセダカ(ニームの木)が、地元住民から「呪われた木」と呼ばれるようになっている。4月21日にこの木に乗用車が正面衝突して22歳女性が死亡し19歳男性が重体となる事故が起き、わずか3日前にも同じ木に別の乗用車が突っ込んで真っ二つに割れる事故が発生していたためだ。
事故現場はサークキウ〜チョーッチャイ間を結ぶ県道11kmポスト付近、マクルアカオ区の寺院ワット・プッタターマワナーラームの正面である。4月21日の事故では、スーンヌーン警察署とスワーンセーンタム救助隊が現場に急行した。乗用車は前部が大破し、車内に挟まれていた2人の身体は救出まで30分の切断機作業を要した。
死亡したのはタナンヤーさん(22歳、名字非公表)で、車内で確認された。重傷のラウィーロート氏(19歳、名字非公表)は意識を失っており、多数の外傷を負った状態でスーンヌーン病院に搬送された。若い2人が命を落としかねない重大事故で、地域社会に大きな衝撃を与えた。
3日前の事故は夜間に発生した。同じセダカの木に別の乗用車が高速で突っ込み、車体が真っ二つに裂ける凄惨な状況となった。立て続けに重大事故が起きた異常性から、現場を通りかかる住民やSNSの目撃者が「อาถรรพ์(アタラット=呪い)」と話題にし始め、寺院前の1本の木は地元で「呪われた木」と呼ばれるスポットに変わった。
タイでは不慮の事故が重なった地点を「呪い」や「先祖の霊」で説明する伝統があり、事故多発地点には小さな精霊の祠が建てられることも珍しくない。合理的な説明としては、カーブの角度、夜間の視認性、雨季の路面、木の位置関係などが組み合わさって同じ木に車が吸い寄せられる可能性が考えられる。ただし実際のデータが出るまでの間、地元では「呪い説」が先行するのがタイ文化の流れだ。
当面の対応として、地元当局は現場の道路安全対策を見直す必要がある。ガードレールの設置、木の位置を示す反射板、カーブ手前の減速標識などの改善は、科学的アプローチとして有効である。一方で、スピリチュアルな対処としてはお坊さんの現場読経や祠の建立が平行して行われるのが、タイの現場では標準的な流れとなる。