ミャンマーの内戦の余波が、タイ側で死者を出す深刻な事態に発展した。6月2日午後、タイ西部タク県ポップラ郡の村で、国境を越えて飛来したドローンが唐辛子畑に落ちて爆発し、農作業をしていた3人が死亡、2人が負傷した。亡くなったのはいずれもミャンマー国籍の人々とみられ、夫婦と子どもの一家3人が巻き込まれた。隣国の戦闘が、タイ領内にいる市民の命を直接奪う事態となった。 (関連記事:ミャンマー軍とカレン勢力の戦闘激化、タイ・タク県に避難民200人流入)
タク県ポップラ郡で起きたドローン爆発
現場となったのは6月2日午後4時ごろ、タク県ポップラ郡ワレー地区のバン・モークートゥイ村である。畑で唐辛子を収穫していた人々のそばに、国境を越えて飛来したドローンが落下し、爆発した。
亡くなったのは、25歳の女性とその夫である37歳の男性、そして11歳の息子の3人である。負傷した31歳の男性と30歳の女性は、メソト病院に運ばれた。いずれもミャンマーからの出稼ぎ労働者とみられ、家族ぐるみで農作業に従事していた。
ドローンは、航空機のような形をした中型のグライダー型で、相当量の爆発物を積んでいたという。墜落後も機体の大部分が原形をとどめていた。タイの警察は現場を封鎖し、鑑識が証拠を集めるとともに、軍や治安当局も出動した。当局は周辺の住民に対し、不審な物体には触れないよう警告している。
ミャンマー内戦のタイ側への波及
このドローンがどの勢力のものかは特定されていない。ただ、国境の向こうのミャンマー・カレン州では、軍と少数民族武装勢力との激しい戦闘が続いており、その戦闘に関連して飛来した可能性が高いとみられる。
タク県では、これまでも戦闘の余波が繰り返しタイ側に及んできた。流れ弾や迫撃砲弾がタイ側に着弾することもあり、6月初めには戦闘の激化で数千人規模の避難民が国境に押し寄せ、一部がタイ側へ越境していた。今回は、ついに爆発物がタイ領内で人命を奪う結果となった。
国境住民を脅かす戦闘の余波
タイとミャンマーの国境地帯では、ミャンマー側の人々がタイに渡って農業や日雇いの仕事に従事しているケースが多い。国境のあいまいな地域では、どこからが安全でどこからが危険かの境目もはっきりせず、戦闘が激しくなれば、巻き込まれるのは現地で働く一般の人々である。
今回のように空から爆発物が飛来する事態は、地上の戦闘とは異なる新たな脅威を突きつけている。ドローンは国境線をたやすく越え、どこに落ちるか予測しにくい。タイ政府にとって、自国領内の安全をどう守るかは、隣国の内戦が長引くなかで重みを増す課題となっている。