タイ軍が6月2日、東北部ウボンラチャタニ県の国境地帯チョンボックで、新たに対戦車地雷を発見した。第2軍管区のスラナリー任務部隊によると、地雷が見つかったのはヒル745と呼ばれる丘の南西側で、同日正午ごろのことだった。タイ側は抗議を申し入れる準備を進めているという。仏像や有刺鉄線をめぐる対立が続くなか、地雷の発見は国境の緊張をさらに高めている。 (関連記事:タイ・カンボジア国境チョンボックで一時対峙)
ヒル745付近で見つかった対戦車地雷
発見されたのは、戦車などの車両を破壊するための対戦車地雷だとされる。チョンボック一帯は、タイとカンボジアの国境が画定していない係争地で、双方の部隊が近い距離でにらみ合う緊張地帯となっている。ヒル745の周辺では、これまでもカンボジア側が陣地を築いたり、部隊を展開したりする動きが伝えられてきた。
タイ軍は、こうした地雷の存在を国境の安全を脅かすものとして問題視し、抗議の手続きを取る構えを見せている。ただし、誰がいつ地雷を敷設したのかをめぐっては両国の主張が対立しており、事実関係は慎重に見極める必要がある。
国境地帯で相次いだ地雷被害
チョンボック周辺では、2025年以降、地雷による被害が相次いできた。同年7月には、タイ兵がパトロール中に地雷を踏んで負傷する事故が起き、その後も国境での作業中に手足を失う兵士が出るなど、深刻な被害が積み重なっている。タイ軍によれば、2025年の紛争が始まって以降、地雷で手足を失った兵士は10人を超えるとされる。
タイ側は、新たに敷設された地雷によるものだとしてカンボジアを非難してきた。一方のカンボジアはこれを否定しており、双方の見解は真っ向から食い違っている。タイは対人地雷の使用を禁じるオタワ条約の加盟国であり、国境で新たに地雷が見つかるたびに、その出どころが国際的な問題として取り上げられてきた。国境一帯には過去の紛争で埋められた地雷が今も多数残っているとされ、事態をいっそう複雑にしている。
終わらない国境のにらみ合い
タイとカンボジアの国境では、2025年に軍事的な衝突が起き、年末に停戦が成立した。しかしその後も、有刺鉄線の設置や仏像の建立、そして今回の地雷の発見と、緊張の火種は途切れていない。
国境画定という根本的な問題が解決しない限り、現場では小さな摩擦が繰り返されることになる。とりわけ地雷は、いったん被害が出れば人命に直結するだけに、両国がどのように衝突を回避していくかが厳しく問われている。