タイで、購入した商品に欠陥があった場合の責任を定める通称「レモン法」が、6月16日の閣議で承認された。最大の変更点は、商品の不具合を消費者が自分で証明する必要がなくなり、販売者側が責任を負う仕組みに改めることだ。車やスマートフォン、家電を買う人にとって、泣き寝入りを減らす大きな一歩になる。
これまでは消費者が「自分で証明」していた
タイではこれまで、買った商品に不具合が見つかっても、消費者が「最初から問題があった」と自分で証明しなければならないことが多かった。保証は販売者が決めた条件次第で、何度も修理に出しても期限がはっきりせず、修理以外の対応を求めるには裁判を起こすしかない。時間も費用もかかり、結局あきらめる人が少なくなかった。
新しい法律は、この原則を逆転させる。法律で定めた期間内に不具合が起きた場合、引き渡しの時点から欠陥があったと推定し、そうでないことの証明を販売者に求める。一般の商品は引き渡しから6か月、自動車は1年が、この推定が働く期間とされた。
修理は60日以内、車は90日以内
消費者が受けられる救済は、修理、交換、値引き、契約解除の4種類で、不具合の内容や深刻さに応じて選べる。修理には明確な期限も設けられ、一般の商品やバイクは60日以内、自動車は90日以内に終わらせなければならない。期限内にできなければ、消費者は値引きや契約解除、損害賠償を求められる。
重大な欠陥の場合はさらに強い権利が認められる。一般の商品は受け取りから7日以内、家電や電子機器は14日以内であれば、すぐに交換を求められる。安全に関わる欠陥が直せない自動車については、販売者が同じ車種の新しい車に交換しなければならない。
「10年待った法律」、対象と相談窓口
法律を所管するスパマース・イサラパクディー首相府相は「消費者がこの法律を10年以上待っていた。証明の負担を消費者から販売者へ移す、タイの消費者保護の大きな転換点だ」と述べた。法案は法制局の審査と、憲法77条に基づく国民や事業者からの意見聴取を経ている。
対象は事業者と消費者の取引に加え、事業者同士の取引やリース契約なども含む。一方で、中古品や生き物、消費者同士の個人売買は対象外となる。今後は国会での審議に進む。商品やサービスでトラブルにあった場合は、消費者保護委員会事務局(OCPB)のホットライン1166やアプリ「OCPB Connect」で相談できる。
