日本の精密部品大手ミネベアミツミの現地法人が、タイで航空機部品の製造に約26億バーツ(約127億円)を追加投資する。タイ投資委員会(BOI)の支援を受け、ロッブリー県に新工場棟を立ち上げ、エアバスやボーイング向けの高精度部品の生産を加速させる。半導体に続き、タイを航空機部品の供給拠点(ハブ)へと育てたいタイ政府の思惑とも重なる動きだ。
エアバスとボーイングに高精度部品
投資するのは、ミネベアミツミグループのNMB-ミネベア タイ。世界的な精密部品メーカーである同社は、約26億バーツを投じてロッブリー県に新たな工場棟を開設し、航空機向けの高精度部品の生産を増やす。供給先は、世界の航空機市場を二分するエアバスとボーイングだ。
航空機の部品は、安全に直結するだけに、極めて高い精度と品質が求められる。ミネベアのロッブリー工場は以前から航空機部品を手がけ、2009年にはボーイングの特殊工程の認証も取得している。長年積み上げてきた技術と実績が、今回の増産投資の土台にある。
タイは日本企業の一大生産拠点
ミネベアミツミにとって、タイは世界最大の生産拠点だ。アユタヤやロッブリー、パトゥムタニ、チョンブリ、ラヨーンなどに9つの工場を構え、これまでの累計投資額は約1,080億バーツ(およそ5,300億円)、従業員は約3万8,000人に上る。2022年にも約30億バーツを投じてベアリングの生産能力を増強したばかりだ。
ベアリングやモーターで知られるミネベアだが、その技術は航空宇宙のような高精度分野にも広がっている。タイはその中核を担う拠点として、存在感を高めている。
「航空機ハブ」を狙うタイ
BOIが今回の投資を後押しする背景には、タイを航空機部品の一大供給地に育てたいという戦略がある。タイはこれまで自動車や電子機器の生産で東南アジアの製造業をけん引してきたが、近年は半導体や航空宇宙といった、より付加価値の高い産業の誘致に力を入れている。
ピックアップなど従来型の自動車市場が中国EVの攻勢で揺らぐなか、新たな成長分野をどう育てるかは、タイ経済にとって重要な課題だ。日本企業の技術と投資は、その鍵を握る存在であり続けている。
