タイ政府が物価高対策として続けている代金補助プログラム「タイ助けタイ・プラス(60/40)」が、フードデリバリー(出前)アプリでも使えるようになった。すでに約2,500万人が利用し、参加店は100万軒を超える大型の景気対策で、出前への対応によって小さな飲食店にもお金が回りやすくなる。
国民の4割近くが使う大型補助
このプログラムは、対象者が登録アプリ「パオタン」を通じて買い物をすると、代金の一部を政府が肩代わりする仕組みだ。物価とエネルギー価格の上昇で家計が苦しいなか、暮らしの負担を和らげ、同時に小規模店の売り上げを支える狙いがある。
財務省によると、6月15日時点で利用者は約2,498万人、参加店は約100万軒、累計の支払額は約309億バーツ(約1,512億円)に上る。このうち政府が肩代わりした分は約179億バーツ(約875億円)で、支払い総額のおよそ6割を占める。タイの人口は約6,600万人なので、人口の4割近くが利用している計算になる。
出前アプリ4社が対象に
今回、新たに対象となったのがフードデリバリーだ。グラブ、ラインマン、ロビンフッド、ショッピーフードの4社が参加し、毎日午前6時から午後9時まで、9月30日まで利用できる。使うにはまず「パオタン」アプリで権利を呼び出し、そこから各出前アプリにつなぐ流れになる。
小さな飲食店にとっては、出前アプリへの参加がデジタル販売やオンライン集客を学ぶきっかけにもなる。過去の調査では、フードデリバリーに加わった店は新規客が176%、注文数が167%増えたといい、プログラム終了後も売り上げの伸びが続いた店が多いという。
AIチャットボットも導入
さらに、クルンタイ銀行が開発した店舗向けアプリ「トゥングン」には、AIチャットボット「ノックグラシップ(ささやく鳥)」が組み込まれた。売り上げデータの確認や客層の分析、仕入れ価格の把握、融資の申し込みまで手伝う仕組みで、すでに40万回以上使われているという。
代金の補助に加えて、小さな店がデジタルやAIに触れる入り口にもなっている点が、この景気対策の特徴といえる。物価高への一時しのぎにとどまらず、店側の足腰を鍛える狙いもにじむ。
