カンボジア政府が、隣国タイに対して正式な抗議を申し入れた。タイ軍が国境地帯で森林を伐採し、鉄条網を設置したことが、両国の国境協定に違反するという主張だ。タイとカンボジアの国境では緊張が続いており、今回はカンボジア側が外交ルートで不満を表明した形となった。
オッダーミアンチェイ州での「侵犯」を主張
カンボジア外務国際協力省によると、問題とされているのは、同国オッダーミアンチェイ州バンテアイアンピル郡アンピル地区の、国境標石26号付近での出来事だ。2026年6月上旬から6月23日にかけて、タイ軍が森林を伐採し、鉄条網を設置したとしている。
カンボジア側は、この行為が2000年6月に署名された「陸上国境の調査・画定に関する覚書(MOU)」の第5条や、2025年12月の第3回合同国境委員会の共同声明に違反すると指摘した。共同声明は、緊張緩和と国境画定作業の再開を求める内容だった。
「一方的な主張は認めない」
カンボジア外務省は声明で、タイが一方的に主張するいかなる境界線や領有権も認めない、と強調した。その上で、タイ側の活動はカンボジアの国境に関する法的権利には影響しないとの立場を示した。
一方、この6月の抗議に対するタイ側の直接的な反応は明らかになっていない。報道によれば、タイ外相は以前、国境の緊張をめぐって冷静さと相互の信頼を呼びかけていた。
続く国境の緊張
タイとカンボジアの国境では、近年、軍の展開や領有権をめぐる対立が表面化している。タイ側でも、チャンタブリー県でカンボジアとの国境にフェンスの建設を進めているところだ(関連記事:タイ・カンボジア国境のフェンス45%完成、下院委が視察 「隙間は一時的」)。
両国は対立を平和的な手段で解決する方針を掲げているが、国境の画定をめぐる神経戦は当面続きそうだ。観光や物流で結びつきの深い両国だけに、緊張の高まりは周辺地域にも影を落としかねない。