タイ海軍の徴兵兵士が上官から残酷な体罰を受けていた実態が、内部告発ページの投稿で明らかになった。投稿には兵士の火傷の写真が添えられており、SNS上で大きな反響を呼んでいる。
告発によると、海軍の徴兵兵士は上官から上半身裸にされたうえ、灼熱の艦艇甲板に胸を押し付けられる「罰」を受けた。鉄製の甲板は直射日光で高温になっており、兵士の体には水ぶくれが広がった。甲板が冷めると別の場所に移動させられ、周囲が制止しても上官はやめなかったという。
さらに兵士は2月から艦上に留め置かれ、4月になっても下船を許されていなかった。ようやく休暇申請が通り半日だけ外出したところ、突然休暇取り消しの命令が出された。兵士は8か月以上家族に会えておらず、ピッサヌロークで末期腎不全の父親を見舞うための帰省だった。告発者は「父親が生きているうちに会わせてやってくれ」と訴えている。
タイ軍における徴兵兵士の虐待は根深い問題である。2025年には海軍サッタヒープ基地で徴兵兵士が訓練官に殴打され死亡する事件が発生し、同年5月に拷問防止法(2022年施行)で初の有罪判決が下された。訓練官2人にそれぞれ禁固15年と20年の刑が言い渡されている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも、タイ軍内の暴行・性的虐待の横行を繰り返し報告してきた。
今週は陸軍でも兵舎内の殴り合い動画が拡散し、兵士10人が処分を受けたばかりである。プムタム国防相は訓練施設への監視カメラ設置を指示し、虐待が確認された場合は指揮官にも処分を科す方針を示しているが、告発が後を絶たない現状が制度の形骸化を物語っている。先日の徴兵くじで赤札を引いた若者たちが、こうした環境に送り込まれる現実は重い。
