プラユット駐屯地(ラチャブリ県)で2026年3月27日、兵士10人が兵舎内で殴り合いをした動画が拡散した。陸軍は翌4月4日に公式発表し、10人全員を3か月の拘禁処分とした。
事件の経緯
動画は兵舎内の寝室を映したもので、兵士たちが激しく取っ組み合う様子が撮影されていた。ソーシャルメディアへの拡散を受けて陸軍が調査を開始した。
調査によれば、事件は2026年3月27日にプラチュアップキーリーカン県のタナーラット駐屯地に所属する予備役センターの兵舎で発生した。現役の兵士10人が個人的なトラブルを原因として殴り合いになった。
処分の内容
陸軍は予備役センター司令官の命令で調査委員会を設置した。調査結果として、10人全員が「部隊内での仲間への暴行」に当たると認定された。軍人規律法(1932年制定)に基づき、全員に3か月の拘禁処分が下された。
さらに上官の監督責任も問われた。事件を防げなかった指揮官クラスについても別途の懲戒手続きが進められた。陸軍は「刑事事件として追加告訴も検討する」と述べた。
タイ軍内での暴行問題
タイ軍では過去にも新兵への暴行や、兵士間のトラブルが問題化することがある。2010年代から2020年代にかけて、タイ陸軍の訓練や宿舎環境での暴力的事案がSNSで拡散するケースが繰り返されてきた。
特に現役の兵士と徴兵された兵士(短期服役)の間の関係、先輩後輩の上下関係(タイ語でรุ่น、「ルン」と呼ばれる)に起因したトラブルが指摘される。今回の事件は「個人的なトラブル」とされているが、軍内部の人間関係の複雑さを背景に持つとみられる。
タイ軍は徴兵制を維持している。毎年4月に「くじ引き徴兵」が行われ、20〜30歳の男性が対象となる。徴兵された兵士は通常2年間服役し、希望者は志願兵として継続できる。閉鎖空間での長期間の共同生活はストレスを生みやすく、規律管理が課題だ。
公式発表の背景
陸軍が即座に公式発表した理由のひとつは、動画の拡散によってすでに社会的な注目が集まっていたからだ。タイのSNSではこうした軍関連の不祥事に対して批判の声が上がりやすく、対応の透明性が求められる。
陸軍は「全員を処罰し、再発防止策を講じる」と表明した。今後の刑事手続きを含め、事件の続報が注目される。