タイ・サムット・プラカン県のホテル内で、巨大な違法賭博場が摘発された。押収された現金とチップだけで700万バーツ近く、そして1日に動いていた金は4,300万バーツ。地味な地方都市のホテルで、これだけのお金が日々まわっていた、という話である。
舞台は、バンコクから車で南へ40分ほど。サムット・プラカン県プラサムット・チェディ郡ナイクロンバンプラカット町。チャオプラヤ川の河口に近い、観光客はまず立ち寄らないようなエリアのホテルだ。5月21日の夕方、内務省行政局の特別作戦部隊がここに突入した。
現場の様子は、タイ紙Khaosodによると、多数の男女がテーブルを囲んで賭博に興じていた、というもの。職員はその場で全員を現行犯で拘束し、テーブル上に並んでいた現金と賭博用チップをすべて押収。集計してみると、合計はほぼ700万バーツ(約3,000万円)に達した。
ここまでなら「規模は大きいが時々あるニュース」だ。引っかかったのは、その次の数字のほう。行政局によると、この賭博場では1日あたり約4,300万バーツ、日本円にして約1億8,000万円が動いていたとされる。月単位なら13億バーツ、年間ならざっと150億バーツ。観光地で中堅クラスのホテル1軒分の年商に並ぶ金額が、ホテルのテナントの一角で、毎日まわっていた計算になる。
拘束された客と運営側の関係者は、押収品もろとも警察に引き渡され、賭博法違反などの罪で立件される見通し。
最近、こうした摘発がやけに目立つ。ホテルや郊外のプール付きヴィラを使った大規模賭博場が、首都圏を中心に次々と現場へ踏み込まれている。2025年10月に発足したアヌティン政権が、違法賭博の取り締まりに本腰を入れているのが大きい。同時に国会では、合法カジノを含む統合型リゾート(IR)を導入するかどうかの議論も並行で続いている。地下に潜っているお金をどう地上に出すか、というのが、いまのタイの大きな宿題のひとつなのだろう。


