タイの観光地パタヤの高級な貸別荘で7月2日、34歳の英国人男性が刺殺されているのが見つかった。男性は現地で大麻農場を営んでいたとされる。警察は、遺体のそばにいた21歳の英国人の妻を、事件を知る「参考人」として身柄を確保し、事情を聴いている。妻は逮捕も起訴もされておらず、警察が事件の経緯を慎重に調べている段階だ。
別荘の浴室で見つかった遺体
遺体が見つかったのは、パタヤ・ノンプル地区にある貸別荘の主寝室の浴室だった。男性の左胸の下には刃物による刺し傷が1カ所あり、枕が添えられ、灰色のタオルがかけられていたという。地元メディアによると、死後少なくとも6時間が経過していたとみられ、室内には広い範囲に血痕が残り、争ったような跡もあった。遺体は、事業の関係者がアメリカにいるビジネスパートナーから緊急の連絡を受けて別荘を訪れ、発見したと伝えられている。警察は現場をくまなく調べ、証拠の保全を進めた。
前夜の口論と、いくつもの不審な点
近隣の住民は、前夜の午後10時ごろに激しい口論と犬がほえる声を聞いていたという。深夜2時ごろにはドッグフードの配達があったが、応答はなかった。妻は遺体のそばに座り込み、ぼんやりとした様子で、大麻の影響下にあるように見えたと報じられている。指には鋭利なもので切ったような軽い傷があった。妻は「夫が自分で傷を負った」と話しているとされる。一方で警察は、居合わせながら通報していないこと、遺体が動かされたことをうかがわせる血の跡、妻の酩酊状態、そして凶器とみられる刃物が洗われていたことなど、いくつもの不審な点を指摘している。
洗われた凶器と続く捜査
凶器とみられるのは、台所の流しで見つかった刃渡り50cmほどの長い調理用ナイフだ。きれいに洗われた状態で、鑑識のために押収された。警察は指紋やDNAの採取、防犯カメラの映像の確認を進めている。現時点で妻はあくまで参考人という位置づけで、断定的なことはまだ言えない。事件の全容は、今後の捜査の進展を待つことになる。
外国人の絡む事件が絶えないパタヤ
パタヤは、外国人が数多く暮らし、また訪れる観光都市で、外国人が被害者にも加害者にもなる事件がたびたび起きる。今回は、大麻ビジネスという要素も絡む。タイでは2022年に大麻が事実上合法化されて以降、大麻の販売店がパタヤやバンコクに急増し、外国人が関連ビジネスに参入する例も増えた。ただ、政府は乱用の広がりを懸念して規制の再強化に動いており、事業をめぐる環境はなお流動的だ。観光地で起きた外国人夫婦をめぐる不可解な死は、真相の解明を捜査に委ねつつ、地元で大きな関心を集めている。
