人気グループBTS(防弾少年団)のワールドツアー「Arirang」のバンコク公演をめぐり、チケット購入を代行すると称したX(旧ツイッター)のアカウントが、入金を集めた直後に姿を消した。少なくとも145人が被害に遭い、だまし取られた金額は計約110万バーツ(約535万円)に上るとみられる。
発売日に消えた代行アカウント
問題のアカウントは、これまで複数の有名コンサートでチケット代行を手がけ、多くの好意的なレビューを掲げて信用を積み上げていた。1枚あたり300〜700バーツ(約1,500〜3,400円)の手数料を取り、チケット代金とともに前金を振り込ませる仕組みだった。
ところが、BTS公演のチケットが売り出された当日、アカウントは突然削除された。利用者はXでもLINEでも運営者と連絡が取れなくなり、支払った金が宙に浮いた。人気公演の発売日という、もっとも需要が高まる瞬間を狙った計画的な手口だったとみられる。
145人・110万バーツの被害
被害を訴えた人は少なくとも145人にのぼる。振込先としてカシコン銀行やクルンタイ銀行など複数の銀行口座が確認されており、資金の流れを追いにくくするため意図的に口座を分散させた疑いがある。
被害者たちはLINEのオープンチャットに集まり、振込記録やチャットのやり取りといった証拠を持ち寄って情報を共有している。すでに警察への被害届の提出も始まり、資金の追跡と立件に向けた動きが進んでいる。
各国に広がるツアー詐欺
この種の詐欺はタイだけにとどまらない。BTSの再始動に伴うワールドツアーは各地でチケットが即完売し、その熱狂につけ込む偽の販売サイトやアカウントが複数の国で確認されている。シンガポールでは6月初めからの1週間ほどで14人が日本円にして100万円超をだまし取られ、警察が注意喚起を出した。
公式に認められた販売ルート以外でチケットを買うのは、それ自体が大きな危険を伴う。正規の販売窓口かどうかを確かめ、個人の代行アカウントに前金を振り込まないことが、いまのところ最も確実な自衛策である。



