フィンランド北部ラップランド地方の裁判所は、2022年の夏に同国へ渡ったタイ人のベリー摘み労働者およそ4,000人を劣悪な環境で働かせたとして、ベリー加工大手ポラリカの元最高経営責任者(CEO)、ユッカ・クリスト被告に人身取引78件で禁錮2年6カ月の実刑を言い渡した。タイ人の仲介業者カラヤコーン・ポンピット被告も、同じ事件で禁錮9カ月とされた。
認定された搾取の実態
判決で認定された労働環境は深刻だった。労働者の多くは渡航費や滞在費のために多額の借金を背負わされ、森の中で長時間働いても手元にはほとんど金が残らなかったとされる。定期的な休日はなく、パスポートと帰国用の航空券は雇用主側に取り上げられていた。
住まいは設備の乏しい過密状態で、シャワーもまともに使えなかったという。食事は茹でた鶏の脚やサーモンの頭、生のレバーといった粗末なもので、報復を恐れて声を上げられない状況に置かれていた。希望を持って北欧へ渡った季節労働者が、森の奥で逃げ場のない立場に追い込まれていたことになる。
賠償命令と量刑、双方が控訴へ
裁判所は被害者の苦痛と損失に対し、約50万ユーロ(約1,900万バーツ、日本円で約9,200万円相当)の賠償を命じた。ポラリカ社には15万ユーロの罰金と40万ユーロの訴訟費用も科されている。仲介業者のポンピット被告は、別の人身取引事件ですでに禁錮3年の判決も受けていた。
ただし、この判決は確定していない。被告側は量刑を不服として控訴する方針を示し、検察側もより重い刑を求めて控訴するとしている。最終的な決着にはなお時間がかかる見通しだ。
タイの出稼ぎベリー摘みという構図
北欧では毎年夏になると、フィンランドやスウェーデンの森に自生するベリーを摘む季節労働へ、タイから多くの出稼ぎ労働者が渡る。2022年は記録的な約4,000人が募集に応じたが、収入や労働条件について実態と異なる説明を受けていたと認定された。
事件を受けて、タイ政府はフィンランド向けのベリー摘み労働者の送り出しを一時停止し、両国間で条件を見直す協議に入っている。遠い北欧の出来事に見えて、これは出稼ぎに活路を求めるタイ地方の労働者と、その足元を突かれる構造の問題でもある。



