タイ東北部ウドンタニ県ムアン郡の路上にある麺店で、スープを食べた客13人が相次いで体調を崩し、病院へ搬送された。地元警察や鑑識、保健当局の調べによると、この店ではゴミの山から拾い集めた正体不明の白い粉を、塩の代わりに味付けへ使っていたとされる。
捜査当局は店舗に立ち入り、調理場に残されていた粉や調味料を押収して成分を分析している。その粉が何だったのか、なぜ食用ではないものが調理に使われたのかは、現時点で明らかになっていない。搬送された13人の容体や、店主がどのような説明をしているのかも、当局の調査結果を待つ段階にある。
口に入れるものを、よりによってゴミの山から拾った素性の知れない粉で味付けしていたという話には、思わず耳を疑う。安く済ませようとしたのか、塩と取り違えたのか、背景はまだ分からない。それでも、屋台や食堂を日常的に利用する人にとっては、決して他人事ではない出来事である。
タイでは安くて手軽な屋台料理が生活に深く根づいている。その一方で、衛生管理は店ごとのばらつきが大きく、食材の扱いや調味料の保管が行き届かずに食中毒が起きる例は珍しくない。今回のように本来は口にしてはいけないものが調理に紛れ込むケースは極端だとしても、見た目だけで中身の安全まで見分けるのは難しいのが実情だ。
保健当局は、加熱が不十分な料理や衛生状態に不安のある店を避けること、食後に吐き気や腹痛などの異変を感じたら早めに医療機関を受診することを呼びかけている。安くて豊かな屋台文化と背中合わせにある食の安全という課題を、あらためて突きつける一件となった。