バンコクの美容クリニックで痩身目的の注射を受けた女性が入院した問題で、当局はこのクリニックに15日間の営業停止を命じた。立ち入り検査の結果、医師でない従業員が施術していたことや、使われた薬がタイで未登録だったことなど、複数の違反が確認された。
当局が15日間の営業停止
保健サービス支援局(HSS)、食品医薬品局(FDA)、中央捜査局(CIB)は6月4日、問題のクリニックを立ち入り検査した。その結果、病院法の基準に違反しているとして、15日間の一時的な営業停止が命じられた。クリニックはバンコクのラムインドラ地区にある。
この問題は、痩身注射を受けた妻が深刻な副作用に見舞われたとして、夫がフェイスブックに投稿したことで注目を集めた。女性は5月29日に注射を受け、その後に症状が悪化し、5月31日にサイマイ地区の病院へ入院した。
次々と見つかった違反
立ち入り検査では、いくつもの問題が明らかになった。まず、痩身の施術を行っていたのは医師ではなく、無資格のクリニック従業員だった。使われた「VitaPeptix NOVOTRIMPLUS+」という製品は、タイの当局に登録されていなかった。
さらに、施術の前に必要な問診や診断、健康状態の確認も行われていなかった。クリニックは登録した住所から無断で移転しており、薬の包装には、クリニック名や所在地、使用期限といった必要な表示も欠けていた。未登録の製品については、関係当局が引き続き調べている。
法的措置も視野に
今回の処分は、被害が表面化してから比較的早い段階での当局の対応となった。手軽さをうたう「痩身ペン」の裏で、資格のない人物が、安全性の確認されていない薬を打つ。そうした実態に、行政が一定の歯止めをかけた形だ。
被害女性の夫は、クリニックの経営者や関係者に対し、賠償を求めて法的措置をとる意向を示している。美容や健康のための施術を受ける際には、施術者が有資格者かどうか、使われる薬がタイで正規に承認されているかを確かめることの大切さを、改めて突きつける出来事となった。