タイ北部メーホンソン県で、森で採った毒キノコを食べた男性2人が相次いで死亡した。地元の保健当局は、雨季に山で採れるキノコのなかには毒を持つ種類が多く含まれるとして、安易な採取と飲食を控えるよう住民に呼びかけている。タイ北部では雨季になると野生のキノコが豊富に生え、それを採って食べる習慣が根づいているが、食用と見分けのつきにくい猛毒のキノコが命を奪う例が後を絶たない。
2人が相次いで死亡
亡くなったのは38歳と45歳の男性で、いずれもムアン郡モクチャムパエ区の森でキノコを採取していた。38歳の男性は5月27日に、45歳の男性は6月2日に死亡した。2人とも、激しい嘔吐や下痢といった消化器系の症状を訴えていたという。
当局の暫定的な調べでは、食べたのは現地で「ラガーク」と呼ばれるキノコや、「ホワイト・デスキャップ(白いテングタケの一種)」とみられている。いずれも食用のキノコによく似ており、安全だと思い込んで口にしてしまった可能性がある。
なぜ見分けが難しいのか
猛毒のキノコの厄介な点は、食用の種類と見た目がそっくりなことだ。色や形だけで素人が確実に見分けるのは難しく、長年親しんできた地元の人でも間違えることがある。今回のように、キノコ採りに慣れた住民が被害に遭う例も珍しくない。
さらに恐ろしいのは、キノコ中毒には特効薬がないという点だ。テングタケの仲間が持つ毒は、食べてから症状が出るまでに時間がかかることがあり、いったん下痢や嘔吐が治まったように見えても、その後に肝臓などの内臓が深刻なダメージを受けることがある。メーホンソン県の保健当局は、キノコの毒が内臓を傷つけ、死に至る危険を大きく高めると警告している。症状が出てから治療しても手遅れになることがあり、そもそも口にしないことが最大の予防策となる。
雨季のキノコにどう向き合うか
タイの北部や東北部では毎年、雨季になると野生のキノコによる中毒が繰り返し報告され、死者が出ることも珍しくない。森のあちこちにキノコが生え、市場でも野生のキノコが売られる。豊かな自然の恵みである一方、その中に毒キノコが紛れ込む危険が常につきまとう。
保健当局は、採ったキノコや売られているキノコについて、種類が正しく判別できるまで食べたり売ったりしないよう求めている。少しでも自信がなければ口にしない。見慣れたキノコでも、いつもと違う特徴があれば避ける。こうした慎重さが、雨季の食卓を守ることにつながる。