タイ南部クラビ県で、堆肥を作るために象の糞を集めようとした49歳の男性が、近くにつながれていた雌の象に踏まれて死亡した。象使いがそばにいない状況で男性が象に近づいたため、象が驚いて暴れた可能性があるという。日本ではまず起こりえない、タイならではの痛ましい事故となった。
油やしの農園で起きた事故
警察によると、事故が起きたのは6月25日の夕方、クラビ県アオルク郡アオルクタイ地区にある油やしの農園。「象に人が襲われてけがをした」との通報を受け、アオルク署の警察官や救助隊が現場に駆けつけた。
現場では、男性が意識を失って倒れており、すぐそばに大きな雌の象がつながれていた。救助隊は象を遠ざけてから男性に応急処置をし、アオルク病院へ搬送したが、男性は重傷で、まもなく死亡が確認された。亡くなったのは農業や日雇いの仕事をしていたソムチャイさん(49)で、体には複数の打撲の跡があった。
象使い不在のなか近づく
調べによると、ソムチャイさんは事故の前、堆肥にするために象の糞を集めようと象に近づいていた。そのとき、象使い(マフート)はそばにいなかったという。人が急に近づいたことで、つながれていた象が警戒し、男性を踏みつけたとみられている。問題の象は推定30歳ほどの雌で、「セーン」と呼ばれていた。
人と象の近い距離
タイでは、観光や林業、宗教行事などで象が人々の暮らしと近いところにいる。一方で、象は体重が数トンに達する大型動物で、驚いたり怒ったりすると大きな力で人を傷つけることがある。たとえ飼い慣らされた象でも、象使いの管理がないなかで不用意に近づくのは危険だ。象の糞を肥料に使う習慣はタイの農村で珍しくないが、今回の事故は、その身近さに潜む危うさを改めて示す形となった。
