オーストラリアの女子スプリンター、ジェマ・ステイプルトンさんが、タイ南部のリゾート地サムイ島で家族と過ごしている最中に亡くなった。25歳だった。誕生日を迎えてからわずか2週間後の出来事で、オーストラリアの陸上界に衝撃が広がっている。
サムイ島で亡くなった25歳
ステイプルトンさんはメルボルン出身で、家族とともにサムイ島を訪れていた。訃報が伝わったのは6月11日のことだ。 遺族は、海外旅行中に不慮の事故で亡くなったと明らかにしているが、事故の詳しい状況は公表されていない。若くして突然この世を去ったことに、関係者は言葉を失っている。
ステイウェル・ギフトの決勝に立った実力者
ステイプルトンさんは、将来を嘱望される短距離走者だった。代表的な実績が、オーストラリアで最も歴史と賞金額の大きいプロ短距離レース「ステイウェル・ギフト」での活躍だ。 このレースは、19世紀の1870年代から続くオーストラリアの名物大会だ。毎年イースターの時期にビクトリア州の町ステイウェルで開かれ、選手たちは120メートルを走る。実力に差のある走者でも競い合えるよう、それぞれのスタート位置をずらすハンデ方式を採用しているのが特徴で、賞金の大きさでも知られている。この大会の決勝に進むこと自体が、短距離選手にとって大きな勲章とされる。 ステイプルトンさんは2025年大会の決勝で3位に入り、今年もふたたび決勝の舞台に立っていた。一度きりの活躍ではなく、複数年にわたって国内トップクラスの走者と渡り合ってきたことになる。短い距離に全てを懸ける選手として、これからの飛躍が期待されていた矢先の悲報だった。
届いた追悼の声
突然の訃報に、家族や陸上仲間からは深い悲しみの声が相次いでいる。兄弟の一人は「心にぽっかりと穴が空いたようだ」とつづり、その死を悼んだ。陸上界からも、若い才能を失ったことへの哀悼が寄せられている。 サムイ島は、美しいビーチで世界中から観光客を集めるタイ有数のリゾート地だ。多くの人にとって安らぎの場所であるその島で起きた悲劇に、現地を知る人々もまた、胸を痛めている。
家族との旅先で、楽しいはずの時間のさなかに起きた突然の出来事だった。遠い異国の地で大切な家族を失った遺族の悲しみは、察するに余りある。前途有望な若い走者の早すぎる死は、オーストラリアの陸上界にとっても大きな損失となった。彼女が決勝の舞台で見せた走りと、競技にひたむきに打ち込む姿は、多くの仲間やファンの記憶に長く残るだろう。 サムイ島は、タイ湾に浮かぶ人気の観光地だ。ヤシの木が並ぶ白い砂浜や温暖な気候を目当てに、欧米やアジアから一年を通して旅行者が訪れ、日本人にもなじみのある場所である。多くの人が安らぎを求めて足を運ぶその島で起きた悲報は、現地で彼女を知らない人々の胸にも、静かな悲しみを残している。