タイ南部パッタルン県とトラン県の境にある山で、トレッキング中に行方不明になっていた53歳のタイ人女性が、6月4日、滝の近くで遺体で見つかった。4日間にわたる捜索が、痛ましい結末を迎えた。女性はグループでの山行の途中、仲間の制止を振り切って一人で先を急ぎ、はぐれていたという。
亡くなったのは、ノンタブリ県から来ていたワンタニーさん(53)。6月1日、カオ・ジェットヨートと呼ばれる山を下る途中で、14人のグループからはぐれた。友人らは安全を気づかって引き止めたが、ワンタニーさんは一人で先に進むことを譲らなかったとされる。この山道を何度も歩いた経験があり、それが油断につながった可能性もある。
その後、ワンタニーさんは道に迷い、沢づたいに下山しようとしたとみられている。当局は、滑りやすく危険な地形の中で、滝の近くの崖から転落したのではないかと見ている。捜索は雨に阻まれ、降り続く雨が足跡を消してしまったことで難航した。
転機となったのは、トンテー滝の近くで見つかった、新しい排せつ物と濡れたティッシュだった。これを手がかりに、捜索隊はこの一帯に絞って捜索を強化した。6月4日の午後5時ごろ、滝の近くでワンタニーさんは発見された。激しい雨とぬかるみの中、救助隊が遺体を収容し、ノンタブリの家族のもとへと帰された。
カオ・ジェットヨートは南部の山並みの中にあり、自然の豊かさからトレッキング愛好者に知られる。一方で、携帯電話の電波が届きにくく、道標も限られる区間があるなど、一歩間違えれば危険と隣り合わせの場所でもある。
雨季のタイの山は、晴れた日とは表情を一変させる。地面はぬかるんで滑りやすくなり、川は増水し、視界もきかなくなる。慣れた道であっても、単独で行動すれば、いざというときに助けを呼べない。今回の遭難は、グループから離れないこと、天候が悪いときは無理をしないこと、そして自分の経験を過信しないことの大切さを、改めて突きつけている。