バンコク中心部のパトゥムワン区にある運河沿いの集落で6月8日朝、火災が発生し、木造住宅およそ60戸が焼けて3人が負傷した。火元は道路から入り組んだ場所にあって消防車が直接近づけず、鎮火までに5時間以上を要した。住民約100人が、近くの学校に設けられた避難所に身を寄せている。
朝の集落を襲った火災、木造約60戸が焼ける
火災が起きたのは、パトゥムワン区ローンムアン地区のラマ6世通りソイ15沿いにある「クローン・ナーンホン集落」。運河に沿って木造住宅が密集する一帯である。出火は6月8日午前7時51分ごろで、火はまたたく間に隣家へ燃え移った。
この火災で住宅はおよそ60戸が焼け、3人が負傷した。住民の多くが在宅する朝の時間帯で被害の拡大が懸念されたが、消防と警察が避難誘導にあたった。鎮火が宣言されたのは、出火から5時間あまりが過ぎたあとだった。
消防車が近づけず、密集する木造住宅に延焼
被害が広がった背景には、この集落特有の立地がある。住宅は細い路地が入り組む奥に密集して建ち、消防車が火元まで直接乗り入れることができなかった。消防隊は周囲の店舗や建物を通り抜けてホースを引き込み、内部から消火にあたらざるを得なかった。
木造家屋が隙間なく連なる構造も、延焼を速めた要因とみられる。パトゥムワン警察署と首都圏警察第6方面隊が現場に入り、周辺の安全確保と被災者の対応にあたった。出火の原因は、現在も調べが進められている。
約100人が避難所へ、行政が支援に入る
焼け出された住民のため、近くのワット・サラブア学校に約100人を収容できる仮設の避難所が設けられた。さらに収容しきれない場合に備え、近隣の施設にも追加のスペースが用意された。
火災の翌日となる6月9日には、社会開発・人間安全保障省のニコン大臣が避難所を訪れ、生活物資を配るとともに、高齢者や障害者など支援が必要な被災者の福祉手続きを急ぐ考えを示した。同省は火災当日から機動チームを現地に派遣し、初期の支援にあたっていた。
バンコクで繰り返される密集集落の火災
運河沿いや路地裏に木造住宅が密集する集落は、バンコク市内に数多く残る。こうした地区は道路が狭く消防車の進入が難しいうえ、家屋が密接して建つため、いったん火が出ると一気に燃え広がりやすい。過去にもボンカイ集落などで同様の大規模な火災が繰り返されてきた。火を出さないための備えとともに、密集地での消火の難しさが、あらためて浮き彫りになった。