チェンマイで、高さ6メートルの足場からクレーン作業員が転落し、大けがを負った。当初は国や雇用主から十分な支援を受けられないのではないかと不安が伝えられていたが、タイのジュラパン労働相は6月1日、労災補償などの権利を確実に受けられるよう関係機関に対応を指示したと明らかにした。現場では安全管理の調査も始まっている。
6メートルの足場から転落
けがをしたのは、クレーン車の運転手として働いていた男性である。高さ6メートルの足場から転落して重傷を負い、報道で本人の不安が伝えられたことを受けて、労働省は関係機関に現場対応を急がせた。男性はチェンマイの病院で治療を受けており、労災補償基金の対象として、治療費のうち保険でまかなえない分は雇用主が全額負担することになったという。
受けられる補償の中身
医師の判断で、男性は4月24日から7月31日まで療養することになった。チェンマイの社会保障事務所は、仕事を休む間の補償の第1回分の支給手続きを進めており、6月10日までに口座へ振り込む予定だという。その後も毎月、法律で定められた範囲まで補償が続けられる。仮に医師が後遺障害があると診断した場合には、賃金の70%にあたる額が生涯にわたって支払われる。労災補償基金は雇用主の拠出で運営され、業務中のけがや病気による医療費や休業中の収入、後遺障害や死亡に対する補償までを幅広くカバーする。外国人を含む被雇用者に適用されるため、タイで働く人にとっては、自分の権利として知っておきたい仕組みである。
雇用主への聞き取りと安全調査
法の執行面では、チェンマイの労働福祉保護事務所の安全検査官が現場に入り、事故の事実関係を調べ始めた。労働省は雇用主を呼び、6月2日に事情を聞く予定としている。建設や設備の作業現場では、足場からの転落は命に関わる重大事故につながりやすく、安全帯の使用や足場の点検といった基本的な対策が守られていたかどうかが焦点になる。報道で当事者の窮状が伝わってから当局が一気に動いた今回の経緯は、声を上げることの大切さも示している。
後を絶たない高所からの転落
タイでは建設や製造の現場での労働災害が依然として多く、なかでも高所からの転落は、死傷者の出やすい事故として知られる。法律は事業者に対し、安全装備の提供や危険箇所の管理を義務づけており、違反があれば罰則の対象になる。今回の事故でも、足場や安全対策に問題がなかったかが調べられる見通しだ。労働者本人にとっても、けがをした際にどんな補償を受けられるのかを知っておくことが、いざというときの備えになる。