チエンラーイ県メーサイ税関は4月20日正午ごろ、過去に押収していたバッテリー17個を解体検査し、内部からメタンフェタミン錠剤「ヤーバー」約10万錠を発見した。バッテリーに薬物を偽装してミャンマー側からタイへ持ち込もうとした巧妙な密輸手口で、国境検問所での定番の摘発パターンが再び稼働した格好である。
押収物は4月7日、メーサイ第1国境検問所(メーサイ〜ターキーレック間)で一時拘束されていた。輸入時に禁制品または管理対象品を紛らわす疑いがあり、税関事件・証拠品課と捜査処罰部が保管していた。20日の開封検査で、重量が正規品としては異常に軽いこと、外側にこじ開けられた跡があることが確認され、詳細分析のため中身の取り出しに着手した。
バッテリーから出てきたのは、オレンジ色の丸錠剤で「WY」の刻印が打たれた約10万粒だった。現場でMarquis試薬による初期検査を行うと褐色に変色し、メタンフェタミン系の違法薬物であることが確定した。「WY」刻印はタイ国内に流れるヤーバーの代表的ブランド表記で、押収品はすべてヤーバーだった。
連携したのはメーサイ税関、税関第3地域捜査処罰部、タイ軍の第3歩兵大隊「タップ・チャオタク」特殊任務隊、そしてパー・メアン部隊である。税関と軍・警察の複合体制で国境の密輸を追うのはタイ北部国境の定番対応で、押収品は最終的に捜査当局に引き渡されて刑事訴追の準備が進む。
メーサイ対岸のミャンマー側「ターキーレック」は、シャン州のゴールデントライアングル地帯に近接する密輸の玄関口として知られている。合成薬物の生産拠点から陸路・水路でタイ北部に流入するルートは数十年続いており、バッテリー・果物箱・家具・ジェネリック医薬品の箱などに偽装する手口が次々と編み出されている。バッテリーの中空利用は中でも頻度の高い偽装パターンの一つだ。
10万錠のヤーバーは小売段階で1錠50〜100バーツで流通し、総額にして数百万バーツ規模の密輸だった可能性が高い。在タイ日本人にとっても、タイ北部の国境地帯は通過時の注意が必要な区域である。メーサイ・チェンセーン・チェンコン方面を旅行する場合、不審な荷物の運搬代行を他人から依頼されるケース(いわゆる「運び屋」の勧誘)には絶対に応じないのが鉄則である。