タイ中部パタヤのガソリンスタンドで、夜勤中に倒れた22歳の女性従業員が死亡した。当初は急病とみられていたが、防犯カメラの映像を確認した養父によると、女性は交際相手の男から激しい暴行を受けていたとされる。男は同じスタンドで働いていたが、本記事の執筆時点で逮捕されておらず、警察が捜査を進めている。
事件が起きたのは6月1日の午後10時ごろ。スクンビット通り沿いにある北パタヤのガソリンスタンドで、夜勤に入っていた女性従業員が突然倒れた。周囲は当初、体調の急変による医療上の緊急事態だと考えたという。女性はバンコク・パタヤ病院に搬送されたが、蘇生措置のかいなく死亡が確認された。
事態が変わったのは翌6月2日だった。女性の養父が現場の防犯カメラの映像を確認したところ、女性が倒れる前に交際相手の男から暴行を受けていた様子が記録されていた。映像では、勤務を終えた男がバイクで戻り、女性を繰り返し殴打していたとされる。男は同じスタンドの従業員だった。
死因と暴行との因果関係については、司法解剖の結果を待つ必要がある。結果が出るまでには45日ほどかかる見通しで、6月4日には女性の火葬が予定されていた。養父は当局に対し、男を速やかに逮捕して娘が公正に扱われるよう訴えた。警察は防犯カメラの映像などを詳しく調べ、捜査を続けている。
タイでは、交際相手や配偶者による暴力が長く社会問題として指摘されてきた。被害者が亡くなったり意識を失ったりした事案では、当初は急病や事故とみなされ、後から防犯カメラの映像や目撃証言によって暴行が判明することもある。今回も、養父が映像を確認しなければ、急病による死として処理されていた可能性があった。
タイは家庭内暴力の被害者を保護する法律を設け、被害の相談を受け付ける窓口も整えている。ただ、暴力は周囲から見えにくく、表面化しにくい問題でもある。身近な人が異変に気づけるかどうかが、被害の深刻化を防ぐ鍵になる。女性の死をめぐる詳しい経緯は、今後の警察の捜査と司法解剖の結果を通じて明らかになるとみられる。