タイ東北部スリン県の中学校で、薬物使用のおそれがある「危険群」として抽出された生徒100人を尿検査したところ、約30人が陽性反応を示した。陽性者の半数近くは女子で、薬物に手を染める年齢は小学6年生にまで下がっているという。学校が薬物の温床になりつつある実態が浮かび、上院の委員会も対応に乗り出す。
危険群の生徒の3割が陽性
今回の検査は、無断欠席や問題行動が目立つなど、薬物使用のリスクが高いとされる生徒を対象に行われた。地区が主導する研修プログラムの一環で、対象となった100人を尿検査した結果、約30人から薬物反応が出た。
ここで注意したいのは、これが全校生徒の3割という意味ではない点だ。あらかじめリスクが高いと見られた生徒に絞った検査であり、それでも3人に1人が陽性だったことになる。陽性者のうち半数近くを女子が占めたことも、関係者に衝撃を与えている。
小学6年生にまで広がる薬物
深刻なのは、薬物に接する年齢が下がっていることだ。今回の調査では、小学6年生の段階から薬物に関わる例が確認された。主に使われていたのは覚醒剤(メタンフェタミン)とされる。
タイでは「ヤーバー」と呼ばれる覚醒剤の錠剤が、ゴールデントライアングルと呼ばれる国境地帯から大量に流れ込み、1錠あたり数十バーツと安価で手に入る。安さと入手のしやすさが、若年層にまで広がる一因とされてきた。リハビリ施設に入っている19歳の若者は、14歳から覚醒剤を使い始め、かつては学校で生徒に薬物を売っていたと明かした。薬物はトイレや授業中に使われることもあったという証言もあり、本来は安全であるべき学校に薬物が入り込んでいる現実が示された。
上院も対応に乗り出す
ルチパス・ミークソン上院議員は、更生施設を視察した際、今回の調査結果を作業部会に提出して詳しく検討すると述べた。上院の法務委員会は6月5日から6日にかけて県内を訪れ、薬物の予防策や取り締まりの強化について話し合う予定だ。
タイでは近年、薬物の使用者を犯罪者として罰するのではなく、治療が必要な患者として扱い、更生を重視する方向へ政策が転換してきた。今回のように検査で早期に把握し、施設での更生につなげる試みもその一環といえる。ただ、安価で身近に迫る薬物から子どもたちを遠ざけるには、検査や更生だけでなく、家庭や地域、学校を含めた予防の枠組みづくりが問われている。