コンケーン県で4月21日、コンケーン県警捜査担当のチューチャート副警部補が、50歳の妻A氏を11mm拳銃で4発撃ち、息子が経営する豚鉄板店(ムー・クラタ)で死亡させる事件が起きた。A氏は地元の村長(ผู้ใหญ่บ้าน)を務めており、嫉妬に駆られた警察官による家庭内殺人の極端なケースである。
夫妻の関係はもともと複雑だった。チューチャート副警部補とA氏は息子2人をもうけた事実婚の長期カップルで、2年前に数百万バーツの借金問題が表面化し、法律上は離婚した。ただし実質的には同居を続けており、生活再建のために息子の豚鉄板店の運営を夫婦で手伝っていた。見かけ上は再出発を図っていた形だ。
しかしチューチャート副警部補は、妻が使う車にGPSを取り付けて行動を追跡していた。信号はリゾートやホテルに複数回飛んでおり、問いただした際に妻が他の男性との関係を認めたことで、家庭内の緊張は限界まで高まっていた。離婚と借金と嫉妬の三重構造が、静かに圧力を積み上げる展開だった。
事件当日、チューチャート副警部補はいつものように店に来て仕事を手伝っていた。しかし妻と口論になり、言葉の刺し合いが繰り返されるうちに激昂し、携帯していた11mm拳銃を取り出して4発を撃った。A氏は病院への搬送中に死亡が確認された。現場の息子や客の前での犯行で、息子の経営する店が惨劇の舞台となった衝撃は大きい。
警察官が職務用の拳銃で家族を殺害するケースはタイで繰り返し発生しており、組織的な問題として長年指摘されてきた。先に報じたパタヤの現役警察官が泥酔で大麻店オーナーを射殺した事件とはパターンが違うが、「官給の拳銃を私的な感情に任せて使った」という根幹は共通する。精神衛生・武器管理・ガバナンスが制度の課題として横たわっている。
A氏は村長として地元で一定の信頼を得ていた立場で、今回の事件は村社会にも深い衝撃を残した。娘や息子を含む家族の今後と、加害者である夫の処罰、さらに村長職の後継などをめぐって、地域の生活に長期的な影響が出る。捜査は殺人罪で進められ、チューチャート副警部補は身柄を拘束されている。