タイ南部ソンクラー県ラノート郡の寺院で2026年6月5日、住み込みの僧侶が刃物で刺され、庫裏(くり、僧侶の居室)で死亡しているのが見つかった。警察によると、僧侶は胸などを刺された状態で発見され、犯人は寺に押し入ったうえでその場から逃走したとみられている。
通報を受けたラノート警察署は、地元の救助協会の隊員やラノート病院の当直医、第9鑑識センターの捜査員とともに現場へ入った。僧侶の遺体には刃物による複数の傷があり、警察は現場の状況や遺留品を証拠として記録したうえで、関係者から事情を聴いている。事件の詳しい経緯や動機はまだ判明しておらず、容疑者の特定には至っていない。
タイの寺院では、僧侶が庫裏と呼ばれる小規模な居室で寝起きすることが多い。日中は参拝者や寄進に訪れる人の出入りがある一方、僧侶が一人で過ごす時間も少なくない。誰もが比較的自由に立ち入れる開かれた場であることは、こうした事件において防犯の難しさを浮かび上がらせる。
タイは人口の9割以上が仏教徒とされ、寺院は地域社会の中心として日常生活に深く根ざしている。僧侶は篤い尊敬を集める存在であり、その僧侶が寺の中で命を奪われる事件は、タイ社会において強い衝撃を伴う。現地メディアも事件を「衝撃」と速報で伝えた。
現時点で容疑者は判明しておらず、警察は動機を明らかにしていない。警察は関係者への聞き取りを続けながら、逃走した犯人の特定と身柄の確保、法に基づく立件に向けて捜査を急いでいるとしている。寺院という神聖な場で起きた事件だけに、地元の関心は高く、事件の続報が待たれる。