タイ北部チェンマイのレストランで6月4日夜、保険会社の社員らが昇進祝いの会を開いていたところ、別のグループに襲われ、4人が負傷した。最も重いけがを負ったのは、この日昇進を祝われていた幹部の男性で、頭蓋骨を骨折し、脳内で出血する重体となっている。発端は些細なクレームだったが、相手のグループが帰り際に暴力を振るい、ワインの瓶まで使う事態になったという。
被害に遭ったのは、保険大手AIAの社員ら。この夜、幹部タナクリットさんの昇進を祝うため、レストランに集まっていた。同じ店には、20人を超える別のグループも食事をしており、そのうちの1人が、AIAの社員にサービスへの不満を伝えに来たという。社員側は勤務時間外ながら対応し、その場はいったん収まったように見えた。
ところが、AIAのグループが店を出たあと、相手グループの男がいきなり社員の1人を殴りつけた。さらに別の男が、タナクリットさんを倒れて意識を失うまで繰り返し殴打したとされる。目撃者によると、グループはワインの瓶を使って暴行し、止めに入った人にも襲いかかったという。タナクリットさんは頭蓋骨骨折と脳内出血の重傷を負い、手術が必要な状態で、搬送先のチェンマイ・マハラート病院では、輸血用の血小板の提供も呼びかけられている。命に関わる深刻なけがだ。
チェンマイ市警察は、証拠を集めたうえで、関係したグループを呼んで事情を聴く方針だが、本記事の執筆時点で逮捕者は出ておらず、加害者からの謝罪もないという。被害者側は、加害グループが「有力者とのつながりがある」のではないかと不安を口にしているとされる。タイでは、地元で力を持つ「影響力のある人物(プーミーイッティポン)」が絡む事件で、警察の捜査が及び腰になり、加害者の責任追及が難しくなる例がたびたび問題になってきた。被害が重大なだけに、公正な捜査が行われるかどうかに注目が集まる。
祝いの席が一転して惨事になった今回の事件は、飲食店での些細なもめ事が、思わぬ暴力に発展する怖さを示している。きっかけは、サービスへのクレームという、どこにでもありそうな出来事だった。それが、瓶で人を殴り、重体に追い込むほどの暴行につながった。警察が加害者の責任をどこまで明らかにできるかが、問われることになる。