タイ南部の漁業者と物流業者が、ディーゼル価格のリッター50バーツ超えによるコスト急騰に苦しんでいる。燃料費は操業コストの大部分を占めるため、利益が大幅に圧縮され、廃業を検討する事業者も出始めた。
漁業では、1回の出漁にかかる燃料代が従来の1.5倍以上に膨らんでおり、水揚げ価格に転嫁しきれない状況が続いている。小規模な沿岸漁業者ほど打撃が大きく、船を港に係留したまま出漁を見合わせるケースが相次いでいる。
物流業界も深刻である。南部を結ぶ長距離トラック輸送では、燃料費の上昇分を運賃に上乗せせざるを得ず、荷主との価格交渉が難航している。輸送コストの増加は最終的に消費者物価にも波及するため、地域経済全体への影響が懸念されている。
業界団体は政府に対し、燃料価格の安定化策や補助金の拡充を早急に講じるよう要請した。現行の補助制度では焼け石に水であり、実効性のある対策がなければ南部経済が立ち行かなくなると訴えている。
ホルムズ海峡の緊張に端を発した原油価格の高騰は、タイ全土に影響を及ぼしているが、漁業と物流に依存する南部は特に脆弱である。チャイナート県ではバイクタクシーの9割が営業停止に追い込まれ、救急ボランティアが燃料代の自己負担に耐えかねて出動を停止するなど、燃料危機は市民生活の隅々にまで及んでいる。
