タイ南部でディーゼル価格が1リットル50バーツを突破し、漁業と物流の現場が悲鳴を上げている。2026年4月下旬、プラチャーチャット紙が南部の実態を報じた。
50バーツ超えの衝撃
中東情勢の悪化を受けて2026年3月から続いてきたディーゼルの値上がりが、4月末に1リットル50バーツという節目を超えた。これはタイの石油基金による補助が限界に近づき、段階的な価格引き上げが続いた結果だ。
南部では漁業と農業がディーゼルへの依存度がとりわけ高い。漁船の燃料、農業用ポンプ・トラクター、水産物や農産物の輸送トラックなど、食料生産から流通まで広くディーゼルが使われる。
漁業者の打撃
南部の漁師たちは「燃料代が倍になれば、同じ漁獲量では赤字になる」と訴える。漁師1人が1日の漁業で使うディーゼルは数十リットルに及ぶ。50バーツ×30リットルとなると1日1,500バーツの燃料コストとなり、これでは採算が取れない水準だ。
一部の小型漁船は出漁を休止し、大型の漁船だけで操業するなど、コスト削減を迫られている。水産物の仕入れコスト上昇は市場の鮮魚・貝類の価格に転嫁されるため、消費者にも影響が及んでいる。
南部の物流コスト
タイ南部は農産物の集積地であり、ゴム・パーム油・海産物・果物を全国や輸出市場に届けるトラック輸送が不可欠だ。ディーゼル高騰で運送会社は値上げを余儀なくされており、物流コストが食料品価格に上乗せされる構造が続いている。
政府への要求
漁業組合や物流業者代表は政府に対し「ただちに対策を取るよう」要求した。具体的には、漁業用ディーゼルへの専用補助金、国営石油備蓄の放出、燃料高騰分の輸送料金への転嫁を認める規制緩和などが求められた。
南部のディーゼル価格が50バーツを超えた背景には、国際原油高に加えて物流・精製コストの上昇があり、短期的な解決が難しい状況だ。