タイ北部で大気汚染指数(AQI)が200を突破し、全国最悪の水準に達している問題で、野党・国民党が政府に対し緊急対策を求めた。同党は農家が野焼きに頼らざるを得ない構造的な背景に踏み込み、具体的な支援策を提示している。
北部では乾季の終盤にあたるこの時期、農地の焼き払いや山林火災が重なり、毎年深刻な煙害が発生する。今年はAQIが200を超える日が続き、チェンマイをはじめとする主要都市では健康被害への懸念が高まっている。チェンマイでは先日もAQI209を記録し、世界ワースト1位となった。
国民党が打ち出したのは、農家向けの「燃料クーポン」と「資金援助」を柱とする支援策である。焼畑に代わる農地処理には機械の燃料代や人件費がかかるため、経済的な負担を国が肩代わりすることで焼き畑の動機そのものを取り除く狙いがある。
背景には、燃料価格の高騰という追い打ちもある。ディーゼル価格が1リットル50バーツを超える現状では、農家が自力でトラクターや裁断機を動かすことは困難である。安価な焼き払いに頼る構造は、燃料危機によってさらに固定化されつつある。
一方、政府側はこれまで山火事の監視強化や焼畑の取り締まりを中心に対策を講じてきたが、罰則型のアプローチだけでは根本解決に至っていない。北部では山火事のホットスポットが前日比4倍に急増するなど、状況は悪化の一途をたどっており、経済的インセンティブを組み合わせた対策への転換が急務となっている。
