タイ最大野党「国民党(พรรคประชาชน)」が2026年4月、チェンマイを中心とするタイ北部の深刻なPM2.5粉じん問題への対策を政府に求める要求書を提出した。AQI(空気質指数)が200を超えて全国最悪の水準に達しているとして、緊急対応と農家への燃料クーポン支給による焼き畑抑止を提案した。
北部PM2.5の現状
チェンマイのAQIは4月に入って連日200を超え、世界の汚染都市ランキングで上位に入ることが続いた。AQI200は「非常に体に有害」なレベルで、外出自体を控えるよう推奨されるほどの深刻な状態だ。
チェンマイ市内では飲食店やショッピングモールが「いい空気の日に来てほしい」と嘆く声が相次いだ。マスクなしでの外出を避ける市民も多く、観光客のキャンセルも相次いでいる。
焼き畑問題と農家の事情
PM2.5の主な原因の一つが農地の「焼き畑(การเผาป่า・เผาที่ดิน)」だ。農家が収穫後の農地や山林を焼いて翌年の耕作準備をする慣行で、北部の山岳農業では根強く残っている。
燃料費の高騰により、焼き畑に代わる土地整備方法(機械耕起など)のコストが上昇しており、「焼いた方が安い」という状況がより強まっている。国民党の提案はこの状況に着目し、農家に燃料バウチャー(クーポン)を提供して焼き畑をやめるよう経済的な誘導を行うというものだ。
政府の対応と批判
政府はPM2.5対策として規制強化と罰則を打ち出しているが、野党は「罰則だけでは効果がない。農家の経済的状況に寄り添った支援が必要だ」と批判している。
副首相のスパジー商務相が国会で「PM2.5が深刻な時期でもタイの各地は美しい。他の観光地に行けばいい」と発言したことが炎上し、野党がさらに攻勢を強めるきっかけになった。
タイのPM2.5問題は毎年2〜4月に深刻化し、健康・観光・農業・航空の複数の分野に悪影響を及ぼしている。