タイの監察機関トップであるソンサック・サイチュア国家オンブズマン議長が、偽ココナッツウォーターの製造・流通を根絶するため、関係機関に対し検査体制の抜本的な強化を命じた。先日のサムットソンクラーム県での工場2か所の摘発を受けた緊急対応である。
ソンサック議長は4月3日に現地を視察し、関係者との協議を実施した。その結果、検査の頻度を大幅に引き上げるとともに、食品医薬品局(FDA)、医科学局、県保健局、県工業局など複数の専門機関が合同で検査にあたる「多職種連携チーム」の編成を求めた。検査は事前通告なしの抜き打ちで行うことが原則とされた。
問題の背景には、現行法の罰則の弱さがある。現状では偽装製品の製造が発覚しても罰金処分にとどまり、製造の即時停止を命じる法的根拠がないとされる。ソンサック議長はこの点を深刻な制度的欠陥と位置づけ、関係省庁に対し規則の改正を急ぐよう要請した。
改正案では、違反が確認された事業者に対し是正措置が完了するまで製造を一時停止させる権限の付与や、罰則そのものの引き上げが検討されている。ソンサック議長は「偽ココナッツウォーターは国民の健康を直接脅かすだけでなく、タイ産ココナッツ製品全体の信頼を損なう問題だ」と強調した。
オンブズマン事務局は今後、関係機関を招集して対策の進捗を確認する会議を開く方針である。ココナッツ農家が長年苦しんできた価格低迷の一因にもなっている偽装品問題に、当局がどこまで実効性のある対策を打ち出せるかが注目される。
