タイ自動車工業会(FTI)が4月27日までに発表した最新データで、国内のハイブリッド車のシェアが31.57%に達し、ガソリン車を上回った。FTI副会長アドバイザー兼スポークスマンのスラポン・パイシトパッタナポン氏が示した数字は、EV熱が一旦落ち着いた市場で、ハイブリッドが「ちょうどいい」選択肢として消費者の支持を集めている動きを裏付けた。
2026年3月の自動車生産は133,413台で、前年同期比+2.69%。内訳は、乗用車輸出向けが16,814台で前年比+19.91%、ピックアップトラックの輸出向けが71,837台で+3.82%。月間の輸出向け生産合計は88,651台で+6.53%増となった。生産全体に占める輸出向け比率は約66%と高く、輸出が国内市場の落ち込みを一定程度カバーしている構造がうかがえる。
2026年1-3月の累計でも、生産は369,751台で前年比+5.32%。輸出向け生産は249,343台で+5.78%とプラス幅を維持した。一方、3月単月の完成車輸出は80,394台で前年同月から減少しており、輸出向けの出荷ペースに陰りも見える。バンコク国際モーターショーの予約が国内向け生産を押し上げる側面もある。
ハイブリッド車のシェア31.57%は、純粋なガソリン車の購入比率を上回ったことを意味する。背景には、2024-25年に急増したEV(BEV)の充電インフラや航続距離不安、リセールバリューへの懸念が改めて意識された一方で、ハイブリッドなら充電なしでも燃費を稼げ、車両価格も中華系BEVに比べて落ち着いていることがある。日系のトヨタ・ホンダが複数モデルでハイブリッド攻勢を強めた効果も大きい。
タイのEVブームは中華系BYD・MGなどに先行を許す形で進んだが、ここに来て地場ディーラー・整備網の厚い日系HEVが反転攻勢を仕掛けている。在タイ日本人の購買層では、駐在期間が短く下取りまで考えるとハイブリッドが現実的、という声が以前から多かった。31.57%という数字は、タイ国内で「とりあえずハイブリッド」が無難な合理解として定着したことを示している。
タイ政府はEV補助金を継続しつつ、最近はハイブリッド支援にも軸足を広げてきた。FTIは2026年通期の生産目標を引き上げる可能性を示唆しており、輸出と国内のミックス、そしてHEV/BEV/PHEV/ガソリンの比率がこれからも動く。日本車メーカーにとっては、市場が「中華BEV一強」から多軸競争に戻る兆しがあり、利益率の高いHEVを軸に据える戦略が当面有効となる見通しだ。