タイの燃料小売最大手ORとバンチャーク(BCP)が、5月29日午前5時からガソリンとガソホール各銘柄の小売価格を1リットルあたり0.70バーツ、日本円でおよそ3.4円引き下げる。あわせて高級軽油「スーパーパワーディーゼル」を1.00バーツ値下げする一方、トラックや配送車が主に使う標準ディーゼルは価格を据え置く。給油所の表示価格は29日の早朝に切り替わる。
値下げされる銘柄、据え置かれる銘柄
値下げの対象は、ガソリン、ガソホール95、ガソホール91、スーパーパワーガソホール95の4銘柄で、いずれも0.70バーツ安くなる。軽油ではスーパーパワーディーゼルだけが1.00バーツの値下げとなる。
一方、標準ディーゼル、ディーゼルB20、ガソホールE20、ガソホールE85の各銘柄は従来どおりの価格で販売される。普段使いの主力であるガソホール95と91が下がる点は家計に届きやすいが、物流の中心となる標準ディーゼルが据え置かれたため、輸送コストへの波及は今回は限られる見通しである。
タイで主流のガソホールとは
日本では馴染みが薄いが、タイの給油所ではガソホールが主流になっている。ガソホールはガソリンにエタノールを混ぜた燃料で、混合比率の違いによってガソホール95・91、エタノールを20%含むE20、85%含むE85などに分かれる。エタノール比率が高い銘柄ほど価格は安くなる傾向がある。
多くのドライバーは自分の車が対応するガソホール95か91を給油しており、今回の0.70バーツの値下げはこの主力銘柄に効く。1回40リットル入れる車なら単純計算で28バーツ、月に4回給油すれば110バーツ前後の差になる。金額そのものは小さくても、毎日の通勤や子どもの送迎で車を使う世帯には積み重なっていく。
元売り各社は足並みをそろえる
タイの燃料市場では、最大手のORとバンチャークが価格改定を発表すると、ほかの元売り各社も前後して同じ方向に追随するのが通例である。今回も両社が足並みをそろえて発表しており、29日以降は他社の給油所でも同じ水準の価格が並ぶ可能性が高い。
軽油については、タイ政府が石油基金を通じて小売価格を一定の幅に抑える仕組みを長く続けてきた。標準ディーゼルが据え置かれた背景には、こうした政策的な価格管理がある。一方でガソリンやガソホールは基金の補助が薄く、世界の石油市況や為替の動きが小売価格に反映されやすい。
なぜ数十サタンの改定が毎回ニュースになるのか
タイの燃料価格は数十サタン単位でこまめに改定される。1サタンは0.01バーツで、70サタンは0.70バーツにあたる。一見わずかな調整に見えるが、価格が動くたびに報じられるのは、燃料費が物価全体や生活コストに直結しているからである。ガソホールの値下げは家計の負担をわずかに和らげ、逆に値上げ局面では運賃や食品価格に跳ね返ってくる。
今回はガソリンとガソホールの小幅な値下げ、そしてプレミアム軽油の値下げにとどまり、標準ディーゼルは据え置きとなった。給油のタイミングを29日の朝以降にずらせば、対象銘柄ではわずかながら安く入れられることになる。