前日の警察追跡中にバイク転倒死したラヨーン県マーブタープッドの事件で、ラヨーン県警察本部が4月24日に正式な説明文書を発表し、新たな事実関係が示された。死亡した若者が逃走中に投棄したバッグの中から、覚醒剤「ヤーバー」106錠が発見されたという。一方、家族側は「警察が蹴り倒した」という目撃証言を依然追及する構えで、議論は続いている。
ラヨーン県警察の説明によれば、2026年4月23日午後、マーブタープッド警察署の警邏隊が地区を巡回中に、不審な挙動の若者男性のバイクを確認した。警察官が停止を求めて職務質問しようとしたが、男性は応じずに加速。マーブタープッド寺院の裏手方面へ逃走した。
警察が近距離でバイクを使って追跡する中、男性は逃走途中で「何かを道路脇に投げ捨てる様子」があったと巡回隊が目撃。さらにラーンプーン市場のソイに入ったところで、駐車中の車両と接触してバイクがコントロールを失い、ひっくり返って男性が頭部を路面に強打。搬送先の病院で死亡が確認された。
遺体に対する直接の身体検査では違法薬物は発見されなかった。しかし捜査員が投棄現場に戻って現場検証した結果、路肩に捨てられていた財布の中からヤーバー(メタンフェタミン)106錠を押収。覚醒剤の所持・運搬容疑の物証となった。
一方、SNS上では「警察官が足でバイクを蹴り倒し、駐車車両との接触事故を誘発した」とする目撃証言の動画とキャプションが拡散。家族側はこの疑惑を重視し、警察のボディカメラ(BWC)映像の開示と内部調査を要求している。現場近くの防犯カメラが「故障中」で事故の瞬間を記録していないことも、疑惑を深める一因となっている。
警察の説明文書には「ヤーバー発見で逃走理由は明確になった」というニュアンスが読み取れるが、家族側の主張する「警察による過剰な接触行為」の有無については、ボディカメラの映像検証を待つ必要がある。タイでは過去に警察職務中の使用武力疑惑が内部調査や幹部処分に発展したケースが複数あり、今回も映像の開示次第で方向が大きく変わりうる。
在タイ日本人・旅行者にとっても、警察の職務質問は避けては通れないシチュエーションで、応じて身分証を提示するのが基本となる。違法薬物の所持・運搬は極めて重い罰則が科されるタイで、逃走行為は疑いを深めるだけでなく、今回のように命に関わる事故を招くリスクも伴う。