タイ東部ラヨーン県マーブタープッド地区で4月23日午後、警察の職務質問から逃走した20代の男性バイク運転手が、追跡中に転倒し頭部を路面に強打して死亡する事故が起きた。目撃者の証言とSNSで拡散した状況から、家族は「警察が足で倒した可能性がある」と主張し、警察のボディカメラ映像を公開するよう求めている。
事故が起きたのはラヨーン県ムアン区マーブタープッドのタラドラーンプーン市場前。同地区所轄のマーブタープッド警察署の警邏隊が、スクンビット通り沿いのガソリンスタンド付近で不審な挙動のバイクを確認し、男性を停止させて職務質問しようとした。
しかし、バイクを運転していた約20歳の男性は応じずに急加速し、タラドラーンプーン市場方面へ走り去ったという。警察はバイクで近距離で追跡。数分後、男性のバイクが路肩に駐車していた自動車の脇に接触してハンドルを取られ、転倒した。頭部を路面に強く打ち付けた男性は、搬送先で死亡が確認された。
この事案がSNS上で大きな反響を呼んでいるのは、一部の目撃者が「警察官が足を使って男性のバイクを蹴り倒し、駐車車両との接触事故を誘発したのを見た」と証言している点にある。ただし、その瞬間を収めた動画は現時点で公開・確認されておらず、他の周辺証人は「衝突音を聞いてから倒れたバイクを見ただけ」と説明するにとどまっている。
現場付近の防犯カメラは「故障中で使用不可」の状態にあり、事故の瞬間を裏付ける映像証拠が揃わない状況となっている。男性の遺体からは違法薬物や違禁品は見つかっていないため、そもそもなぜ職務質問の対象になったのかという点も疑義の的となっている。
事故発生後、現場の警察官は報道陣に対して「上司に確認してほしい」と具体的な説明を避けており、上司側との連絡も記事執筆時点で取れていない状況。被害者家族は警察内部で映像を保有するボディカメラ(BWC)の記録を公開するよう正式に要求する構えで、今後の調査次第では警察の職務執行手続きへの信頼問題に発展する可能性がある。
タイでは過去にも警察追跡中の事故死や、職務中の使用武力を巡って目撃動画がSNSで拡散し、後に内部調査や幹部処分に発展するケースが複数報告されている。今回の事案も、目撃証言のみで始まった疑念がどこまで裏付けられるかが焦点で、ボディカメラ映像の開示如何が真相解明の鍵を握る。