バンコク都心部と東部郊外を結ぶ水上公共交通「センセン運河船(Khlong Saen Saep Boat)」が、4月24日から運賃を全区間1バーツずつ値下げした。背景にあるのはディーゼル軽油の小売価格引き下げ。同日の軽油価格が1リットル=40.20バーツまで下がり、燃料コストの低減分を運賃に還元した形だ。
運営会社のクロップクルア・コンソン(2002)社のチャオワリット・メータヤプラパート取締役が明らかにした。同社によれば、4月24日時点のディーゼル40.20バーツ/Lは、これまでの仕入れ単価と比べて燃料費を大きく押し下げる水準で、値下げ実施の原資となった。値下げは即時実施で、区間ごとに各バーツの運賃から1バーツずつ下がる仕組みだ。
改定後の運賃は、短距離で16バーツ、最長距離で26バーツとなる。これまで17〜27バーツ程度で設定されていた運賃から、全線で1バーツずつ刻みが下がる形となる。通勤・通学利用者にとっては、1日往復で最大2バーツ、月20営業日で月40バーツ程度の負担減に相当する。
センセン運河船は、バンコク東部ミンブリー方面から中心部のプラトゥーナム・パンファーリーラート付近までを結ぶ水上公共交通で、朝夕のラッシュを避けたい通勤層を中心に根強い利用者がいる。MRT・BTSと並ぶ「第3の交通網」として機能し、プラトゥーナム・ラチャテーウィー・ラムカムヘン沿いのオフィス・学校へのアクセスで日常使いされている。
今回のディーゼル値下げは、エネルギー省傘下の石油基金委員会が燃料価格の調整として4月24日午前5時から全国給油所で実施したもので、直近1週間で3度目の値下げとなった。民間運輸事業者の燃料コスト改善に波及し、今回のセンセン運河船のように旅客運賃の前倒し改定を発表するケースが続いている。
タイでは物価高の長期化を背景に、公共交通運賃や物流コストの動向に対する消費者の感度が高まっている。運賃1バーツの差は一見小さくても、毎日の通勤利用者にとっては月単位・年単位で無視できない差額となり、公共交通インフラの運賃調整は生活実感に直結する指標だ。
バンコク在住の日本人・旅行者にとっても、渋滞回避や観光ルートとしてセンセン運河船を使う場面がある。特にプラトゥーナム・サイアム周辺に滞在中の旅行客が都心内を水上で移動する場合には、コスト面での改善が期待できる。ただし運河船は始発・終発時間や荒天時の運休など条件があり、利用前には公式SNSや各船着場の掲示で時刻・運休情報を確認しておきたい。