タイ観光スポーツ省のスラサック・パンチャロエンウォラクル大臣が、タイ国民の海外渡航者に対する1人1回1,000バーツの出国手数料を再導入する案を打ち出した。年間出国数約1,000万件をベースに最大100億バーツの収入を見込み、国内観光助成スキーム「ティアウ・コンラクン(国内共同支払い観光制度)」の拡充に充当する方針。財務省と協議中で、今後数週間内に閣議審議入りする見通しだ。
適用対象はタイ国民のみで、外国人観光客は対象外。別途、陸路で入国する外国人向けに300バーツの入国手数料も導入予定だが、これとは別枠の運用となる。1,000バーツは固定額で、出国の都度1人に課す形が想定されている。
集まる100億バーツ規模は、国内観光助成の「ティアウ・コンラクン」拡充に充てる。これはタイ国民が国内旅行する際の宿泊・交通費を政府が一部補填する制度で、コロナ禍で創設された経済刺激策の延長線にある。年間約1,000万件分の補助権を提供できる試算で、海外旅行への支出を国内に振り向ける狙いだ。
スラサック大臣によると、出国手数料の法的枠組みは1983年の王令にさかのぼる。当時は約500バーツが課されていたが、現在は徴収が中止されている。今回の動きは、法的根拠を活用して制度を再起動するアプローチとなる。1,000バーツへの引き上げは、当時から40年以上の物価上昇を反映した水準と説明されている。
業界の反応は分かれる。スラサック大臣は「出国決定への影響は最小限。航空運賃の変動の方が旅行者の感度には大きく作用する」と擁護。タイ旅行代理店協会(ATTA)は外国人への二重課金懸念が払拭された一方、300バーツの陸路入国手数料には一部の観光団体が反対している。
今回の1,000バーツは「タイ国民」のみが対象なので、日本人在住者・観光客は徴収されない設計。ただし、タイ人スタッフ・取引先・配偶者・出張者の海外移動コストには直接影響する。日本人駐在員家庭で家政婦やドライバーが海外帰省する場合などにも追加費用が発生し、家計から負担する流れも想定される。財布感覚でいえば1人約4,000円相当の追加負担となる。