ナコーンパノム県タートパノム郡で4月27日、対中輸出向けドリアン40トンを積んだ大型トレーラーが、前方のピックアップトラックに追突した拍子に道路脇へ転覆し、運転手の50歳男性が車内に挟まれた。救助隊が油圧カッターと酸素供給で救出作業を進め、約7時間後に脈拍を維持したまま生存救出する奇跡的な生還劇となった。
事故現場はバン・ドンサワン地区(ウムマオ村、タートパノム郡)。対応した救助組織は、サワーンナーワー・タートパノム救難協会、トートパノム・プラユパラート病院救急、ムックダーハーン県のテックカ・ジームック・ココ赤旗救難隊、ムックダーハーン合同救難協会など複数。油圧カッターで車体を切り開き、運転手に酸素マスクと人工呼吸器を装着しながら、約7時間にわたる救出作業が続いた。
救出された男性運転手(50)は重傷ながら脈拍を維持しており、トートパノム・プラユパラート病院に搬送された。当局は事故原因を「中央地方からイサーン国境への長距離運転による居眠り」とみている。前方のピックアップ運転手は無事だった。
タイは世界最大のドリアン輸出国で、年間数千億バーツ規模を中国向けに出荷する。タートパノム郡はメコン川沿いの国境ポイントで、ラオス経由で中国南西部(雲南省)へ陸送する物流ルートの要所。1台40トン級のトレーラーは、タイ中部の集荷場からイサーン国境までを長距離で結ぶ。
ドリアン輸出のピーク期(4-6月)は、トレーラー運転手の労働時間が極端に長くなる。中央からタートパノム国境までは10時間以上の連続運転になることもあり、居眠りリスクは構造的だ。在タイ日本人で物流業に関わる立場の人にとっては、対中サプライチェーンの「走り続けるトラック」がどれだけ薄氷の上を進んでいるかを示す事案となる。
当局は事故車両の積荷ドリアン40トンの取り扱いと、運転手の運送会社の労務管理を調査する見込み。対中輸出のピーク期にこのレベルの事故が起きると、輸出枠の遅延や代替便の手配コストが連鎖的に発生する。1台の事故が物流網全体に波紋を広げる構造が改めて浮き彫りになった。