タイ財務省が4月27日、新しい消費刺激策「コンラクン Plus」の枠組みを最終決定した。受給対象は過去最多の2,000万人超で、5月に登録し、6月から1人4,000バーツを月1,000バーツずつ4ヶ月にわたって受け取れる。エネルギー危機の影響緩和策として位置付けられ、福祉カード(バトコンチョン)保持者も含まれる仕組みになっている。
本制度は、タイで定番化した「コンラクン(คนละครึ่ง=各自半分)」モデルの拡張版。利用者がショップで支払う金額の40%を本人が負担し、残り60%を政府が補填するマッチングペイメント方式となる。納税者・非納税者を問わず一律適用で、税制上のインセンティブではなく、純粋な家計支援に振り切った設計だ。
2,000万人超は、これまでのコンラクン系制度の中で最大規模。給付総額は単純計算で約800億バーツに達する見込みで、生活費・燃料費高騰局面での消費下支えとしては大きな金額となる。財源は複数経路で準備済みとされ、2569年(2026年)度予算で年度末までに契約に紐付けられない分が含まれる見通しだ。
中東紛争の長期化でジェット燃料・電気代・物価が同時に押し上げられる中、政府は4月だけで複数の対策を矢継ぎ早に打ち出している。電気代の構造改定(400U超で5B/U・6月開始)、ディーゼル価格40.20バーツ/Lへの引き下げなど、家計の支出側に直接効く施策とセットになる位置付けだ。
コンラクン Plusは原則タイ国民向けの制度で、外国人在住者は基本的に対象外。それでもタイ人スタッフ・取引先・近隣の消費行動が6月以降の4ヶ月間で変化するため、レストランや小売の客足、配達需要などに連鎖的な影響が出る。日本の給付金とは違い「政府60%・本人40%」という負担分担で財政コストを抑える設計は、観察対象としても面白い。
登録は5月から始まり、利用には専用アプリでの認証が想定される。詳細な対象店舗の条件、上限額(1日いくら使えるか)、福祉カード保持者の併用ルールはまだ最終版が出ておらず、5月の正式発表で確定する。タイ政府は給付金とエネルギー対策を並走させ、夏場のインフレ感を抑え込む構えだ。