タイの有力政治家スダラット・ケーユラパン氏が、現在タイに迫りつつある経済危機について「本物の経済津波が来ようとしている」と強い警告を発した。中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰やホルムズ海峡の通航リスクが、タイ経済に深刻な打撃を与えかねないとの認識を示したものである。
スダラット氏は今回の危機の深刻さについて、1997年のトムヤムクン危機(アジア通貨危機)や2020年のコロナ禍を上回る可能性があると指摘した。いずれの危機もタイ経済に壊滅的な影響を及ぼしたが、今回はエネルギー価格の急騰が物流・製造・農業・漁業など産業全般に波及する構造的な問題を抱えている点が異なるとの見方である。
実際、タイ国内ではディーゼル価格が1リットル50バーツを突破し、南部の漁業や物流が悲鳴を上げている。タイ中銀もGDP見通しを1.3〜1.7%に下方修正しており、世界銀行も1.3%への引き下げを発表するなど、危機感は国内外で共有されつつある。
同氏は政府に対し、受け身の姿勢では「太鼓の皮のように叩き潰される」と厳しく警告した。エネルギー確保の多角化や国内産業の保護、家計への支援策を迅速に打ち出す必要があるとの立場である。政府は副首相主導で経済専門家チームを新設し、「コンラクルンPlus」による消費刺激策も準備しているが、危機の規模に見合うかは未知数である。
トムヤムクン危機では通貨暴落と企業倒産が連鎖し、コロナ禍では観光業が壊滅的な打撃を受けた。今回はエネルギーという経済の根幹が揺らいでおり、スダラット氏の警告はタイ社会に重く響いている。