タイのプラスチック産業が中東情勢の悪化による原料価格の急騰に直面している。ワラウット・シラパアーチャー工業大臣は10日、国会で現状を説明し、プラスチックペレット(樹脂原料)の価格高騰が産業界から消費者まで幅広く影響を及ぼしていることを認めた。ただし現時点では価格や流通量の統制には踏み込まない方針を示した。
工業大臣によると、商務省・工業省・内務省・天然資源環境省・保健省の5省庁横断で作業部会の設置を急いでいる。食品医薬品庁(FDA)や公害管理局、タイ工業規格協会(TISI)も参加し、国内に流通するプラスチックペレットの在庫量や調達先、国際相場との価格差を調査する。あくまで実態把握が先決であり、「川上から川中までの流れを把握したうえで次の手を打つ」との姿勢である。
中東の軍事的緊張がサプライチェーンを直撃し、タイ国内ではペレットの入手が困難になりつつある。ペレット価格の上昇はポリ袋や食品容器など日用品の値上がりに直結するため、最終的な負担は消費者に回る構図である。すでにシャンプーや石鹸など日用品の値上げ申請が相次いでおり、原油高の波及は生活の隅々にまで及んでいる。
ワラウット大臣は統制の代わりに、プラスチック使用量そのものを減らす方向性を打ち出した。代替素材への転換やリサイクル率の引き上げを推進し、自らマイボトルを持参して見せるパフォーマンスも行った。短期的な価格対策よりも、中長期的にプラスチック依存を下げる戦略で乗り切る構えである。
原油高は1〜2年続くとの見通しもあるなか、プラスチック原料の高止まりも長期化する可能性がある。製造業者のコスト転嫁が進めば、食品包装から建設資材まで幅広い分野で値上げの連鎖が避けられない。作業部会の調査結果を踏まえた政府の次の一手が注目される。