タイの石油大手PTT Station(บริษัท ปตท. น้ำมันและการค้าปลีก จำกัด (มหาชน) / OR)とバンチャク・コーポレーション(BCP / บมจ.บางจาก ปิโตรเลียม)は2026年5月25日、燃料小売価格を引き下げると発表した。実施は5月26日午前5時から、ガソリン・ガソホール全種類が1リットルあたり0.60バーツ値下げ、ディーゼル(ดีเซล)が1.00バーツ値下げとなる。一方、エタノール混合率の高いE85・E20・B20は据え置き。値下げの背景は、中東情勢の一時的な安定と国際原油市場の落ち着き。タイ全土のドライバー・物流業者・在留邦人ファミリーの直接的な家計改善になる発表で、Grab・配送・タクシー・バイクタクシーの運賃コストにも数日内に波及する見込み。
5/26午前5時から実施、ディーゼルは1B/Lの大幅値下げ
PTT Stationとバンチャクの2社が同時に発表した値下げ内容は以下の通り。
- ガソリン(เบนซิน / Gasoline)全種類: -0.60バーツ/L
- ガソホール(แก๊สโซฮอล์ / Gasohol)全種類: -0.60バーツ/L
- ディーゼル(ดีเซล / Diesel): -1.00バーツ/L
- E85(エタノール85%混合): 据え置き
- E20(エタノール20%混合): 据え置き
- B20(バイオディーゼル20%混合): 据え置き
実施開始は2026年5月26日午前5時(タイ時間)から。タイ国内のPTT・バンチャク系列ガソリンスタンドで一斉に新価格が適用される。本値下げは、バンコク都内の地方育成税(ภาษีบำรุงท้องที่ กทม. / Bangkok Maintenance Tax)を含まない卸売段階での価格調整で、最終的なバンコク市内小売価格には地域別の追加調整が乗る形となる。
ディーゼル1B/L値下げのインパクト、物流コストへの波及
ディーゼル1.00バーツ/Lの値下げは、過去数週間の連続値下げの中で最も大きい幅。物流業界・トラック・バス・タクシーといったディーゼル車両を主に使う事業者のコスト圧迫が緩和される。タイの物流コストはGDPの約14%を占める高水準で、ディーゼル価格の動向は物価全体に直接影響する。1L=1Bの値下げが続けば、月間ベースで運送業者の燃料コストが数%下がる計算となる。
E85/E20/B20が据え置きの意味、エタノール政策維持
エタノール混合率の高いE85・E20と、バイオディーゼル混合率の高いB20が据え置きとなったことには、タイ政府のエネルギー多角化政策の意図が反映されている。タイは国内産のサトウキビ・キャッサバ・パーム油から作るエタノール・バイオディーゼルを推進しており、これらの混合燃料を維持・拡大することで化石燃料輸入依存を減らす長期戦略を持つ。今回の値下げで純粋ガソリン・純粋ディーゼルとの価格差が縮小する可能性があり、ドライバーの燃料選択に影響を与える。
中東情勢の一時的安定が背景、ホルムズ海峡
今回の値下げの背景は、中東情勢の一時的な安定と、それに伴う国際原油市場(WTI・Brent)の落ち着き。先週まで続いていたホルムズ海峡閉鎖懸念が一段落し、原油の海上輸送コストが正常化したことで、タイの石油大手が小売価格を引き下げる余地が生まれた。一方、FTI(タイ工業連盟)自動車部会が指摘するように、中東緊張は完全に解消したわけではなく、ホルムズ海峡周辺の地政学リスクは依然として残っている。
月1,000km走行で月60-100Bの節約計算
タイで自家用車を持つ在留邦人にとって、本値下げは月数百バーツ程度の燃料代節約につながる。月間1,000km走行する日本人ドライバー(燃費10km/L想定)の場合、月100Lのガソリンを使う計算で、0.60バーツ/L値下げなら月60バーツ節約。ディーゼル車なら月100バーツの節約。Grab・タクシー・バイクタクシー利用が中心の在留邦人は、運賃の値下げ圧力が緩和される形での恩恵を受ける可能性がある。
5月の燃料価格、累計値下げ幅は約4バーツ
タイの5月燃料価格は、月初から段階的な値下げが続いている。石油基金(กองทุนน้ำมันเชื้อเพลิง / Oil Fund)による補助調整と国際原油市場の安定が組み合わさり、ディーゼルだけで累計約4バーツ/Lの値下げを記録した。この値下げで、4月の高値水準(ディーゼル43-44バーツ/L)から現在は40バーツ前後まで戻している。物流業者と一般消費者の双方が燃料コストの正常化を実感できる場面が増えている。
他系列の追随、コスモ・シェル・カルテックスも値下げ予定
PTT・バンチャクの値下げ発表後、通常は競合のESSO/Mobil(エクソンモービル系)、シェル(Shell)、カルテックス(Caltex)、コスモ石油(Cosmo)などの石油元売り各社も同様の値下げを発表するパターンが定着している。タイの石油元売り市場は競争が激しく、PTT・バンチャク主導の価格改定が業界全体に波及する仕組み。5月26日中には全系列のスタンドで新価格が適用される見込み。


