原油価格の高騰を受け、シャンプーや石鹸、パーム油などの日用品メーカーが商務省に対し一斉に値上げを申請していることが明らかになった。商務省の国内取引局(ウィタヤーコーン局長)が2026年4月10日にメディアに認めた。一方、肥料メーカーからの値上げ申請は現時点で出ていないという。在タイ日本人の生活コストにも直接響く話題で、特にスクンビット圏のスーパーマーケットや日系コンビニで取り扱う日用品の店頭価格に影響が出る可能性が高い。
商務省の方針:価格据え置きは採らない
同局長は、国民の生活費を守るために「価格据え置き(トゥルン・ラーカー)」方式は採らないと明言した。業界全体が共存できる仕組みを模索する姿勢を示しており、一律の価格統制ではなく個別の原価構造を精査したうえで対応する方針である。これは過去の物価高局面でしばしば取られた人為的な価格凍結とは異なるアプローチで、メーカー側の負担と消費者保護のバランスをデータで判断する形となる。
どの商品がどれくらい値上げになる見通しか
商務省が燃料価格をリッター50バーツで試算したところ、商品全体の原価上昇率は平均0.7〜44.4%に達することが判明した。品目別では食品・飲料が1.6〜12.1%、日用品(シャンプー・石鹸・洗剤類)が1.4〜16.2%、輸入依存度の高い農業資材が最大44%と突出している。建設資材は1.5〜2.1%と影響が限定的で、生鮮食品も0.7〜3.2%にとどまった。日常的に使うシャンプー1本(150〜250バーツ前後)が10〜15%上がれば、月間1000バーツ前後の家計への影響を覚悟する必要がある。
なぜ農業資材だけ最大44%もの上昇なのか
とりわけ農業資材の上昇幅が大きいのは、尿素肥料の不足懸念、ホルムズ海峡に輸送船5隻が足止めで報じた通り、中東情勢の悪化による輸送コスト増が直撃しているためである。ただし肥料メーカー自体は値上げ申請を見送っており、農業省が肥料大手6社と緊急会合を開いた効果もうかがえる。中東経由の物流が正常化するまでは、農業資材の高騰圧力は当面続く見通しだ。
統制商品リストとプラスチック原料の状況
2026年の「統制商品・サービス」リストは現在62品目63カテゴリに上り、生活必需品の値上げには商務省の事前承認が必要な体制となっている。日用品の値上げがどこまで認められるかは今後の審査次第。プラスチック原料(シャンプーボトル・洗剤容器に使われる)については供給量は十分に確保されているとの見解も示された。容器コストよりも中身の原料(植物油・界面活性剤)の輸入コストが値上げ圧力の主因となっている。
関連背景
ディーゼル50バーツ突破が続く限り、生活コストへの圧力は一段と強まりそうだ。日系スーパーで売られるシャンプーは輸入品(P&G・花王・ユニリーバ等)とタイ国内製造品が混在しているため、商務省の値上げ承認が出ると棚の値段が一斉に動くことが多い。家計管理を意識する駐在員家族は、まとめ買いや代替ブランド(LION・Mistine・Twin Lotusなどタイ国内ブランド)も視野に入れた選択が現実的になりそうだ。


