タイ海軍は2026年5月25日、タイ海軍司令部(บก.ทร.)で記者会見を開き、SNS上で拡散していた「チャンタブリー側の国境が開かれた」との情報を公式否定した。海軍報道官パラチャー・ラッタナチャイパン少将(พล.ร.ต.ปารัช รัตนไชยพันธ์)は「現在も全境界閉鎖の措置を継続している」と明言し、政府の治安政策に基づく厳格な境界管理を強調した。一部の出入りを許可するケースは、法執行・治安・人道措置に限定されており、外国人の本国送還、タイ国民の帰国受入れ、政府機関業務といった例外措置のみ。SNS上の誤情報拡散に対する公式否定として、タイの境界政策に関心を持つ在留邦人ビジネスマン・国境地帯居住者の理解を整理する内容となった。
SNSで「チャンタブリー国境開放」誤情報が拡散
事の発端は、SNS上で拡散した「タイ・カンボジア国境のチャンタブリー側が開放された」という情報。FacebookとLINEのコミュニティを中心に、複数の投稿が「越境ビジネスが再開される」「カンボジア観光ツアーが復活する」といった内容で広がっていた。SNS上の情報が真偽不明のまま拡散したことで、国境物流業者・タイ・カンボジア間の家族・観光業者の間で混乱が生じた状況に対して、海軍が公式声明を発出した形となる。
海軍「全境界閉鎖を継続」、厳格な境界管理を維持
パラチャー海軍報道官は「現在も全境界閉鎖(ปิดด่านตลอดแนว / full border closure)の措置を継続している」と明言した。タイ海軍は、タイ・カンボジア国境のチャンタブリー県・トラート県沿岸エリアの境界管理を担当しており、政府の治安政策に基づき、厳格な境界管理を維持している。境界閉鎖は新型コロナウイルス感染症対策で始まり、その後も国際犯罪・薬物・人身売買・不法入国の取締を理由に継続されてきた。
通過許可は法執行・治安・人道措置に限定
例外として認められる通過は、以下の3カテゴリに限定される。
- 法執行(การบังคับใช้กฎหมาย / Law Enforcement)
- 治安措置(ความมั่นคง / Security)
- 人道措置(หลักมนุษยธรรม / Humanitarian)
具体例として、海軍報道官は「外国人の本国送還」「タイ国民の帰国受入れ」「政府機関の業務」を挙げた。すべてのケースで、検査・選別・監督が厳格に実施されており、商業目的・観光目的の越境は依然として認められていない。
不法入国・国際犯罪・違法活動の継続が背景
境界閉鎖継続の背景として、パラチャー報道官は「現在も不法入国の試み、国際犯罪組織の動き、複数の違法活動が継続している」と指摘した。タイ・カンボジア国境では、薬物密輸、人身売買、不法労働者の流入、賭博関係者の越境、サイバー犯罪センターからの逃亡者などが、長年治安課題として残ってきた。特にカンボジア側のシハヌークビル・ポイペット・バヴェットといった都市は、中国系犯罪組織による「Pig Butchering」型詐欺センターの拠点として国際的に問題視されており、これらの組織がタイへ流入することを阻止する意図も含まれる。
パトロール・監視・法執行の継続
タイ海軍と他の治安機関は、引き続き境界エリアでのパトロール、監視、法執行を継続する方針。海軍はチャンタブリー県・トラート県の海岸線、陸上境界、沖合海域での警戒を続け、不法入国者の発見・拘束、密輸船の摘発、外国人国際犯罪組織の活動阻止に取り組んでいる。
SNS情報の鵜呑みに警戒、公式チャンネルで確認を
海軍報道官は最後に、国民に対して「SNS情報の鵜呑みを避け、公式チャンネルから情報を入手するよう」呼びかけた。SNS上で「国境開放」「ビザ緩和」「越境再開」といった情報が拡散しても、それが公式発表でない限り信頼すべきではないとした。タイ政府機関・海軍・警察・移民局の公式SNSや公式サイトでの確認を推奨している。
サプライチェーン+観光の越境再開時期は未提示
タイ・カンボジア国境の境界閉鎖は、日本企業のサプライチェーンや、駐在員家族の越境観光に影響を及ぼしている。特にタイ-カンボジア-ベトナム-ラオスの陸路サプライチェーンや、シハヌークビル・アンコールワット観光に関心を持つ在留邦人にとって、本日の海軍声明は「境界閉鎖は引き続き継続される」というメッセージとして受け止めるべき内容となる。商業目的・観光目的の越境再開時期は、現時点で具体的なスケジュールが示されていない。