スパジー副首相が、タイの通商競争力を強化するため経済・金融分野の専門家12人で構成する諮問チームの設置に乗り出した。新設されるのは「タイ貿易代表(TTR)」の諮問機関で、ウィラサック氏、コープサック氏、ヤンヨン氏、ピティ氏ら各界の重鎮が名を連ねる。
背景にあるのは、世界経済の不透明感と地政学リスクの高まりである。中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格の急騰や、主要国間の貿易摩擦がタイ経済を直撃しており、世界銀行がタイGDP予測を1.3%に下方修正するなど厳しい見通しが続く。こうした状況を受け、副首相は民間の知見を政策に直結させる体制づくりを急いでいる。
諮問チームの役割は、貿易戦略の立案にとどまらない。国際交渉の場でタイの利益を最大化するための提言や、サプライチェーンの再構築に向けた具体策の策定も期待されている。特に、副首相が「危機を好機に」と掲げる食品ハブ構想や電力基盤への投資との連携が注目される。
12人のメンバーには金融・財政政策に精通した元政府高官や民間エコノミストが含まれ、官民の垣根を越えた異例の布陣となる。タイ中銀がGDP見通しを1.3〜1.7%に下方修正し、債務者救済策まで準備を進める現在、マクロ経済の舵取りにおいて複数の視点を取り込む狙いは明確である。
タイは輸出依存度が高く、地政学的な混乱が貿易収支に直結しやすい構造を持つ。専門家チームがどこまで実効性のある戦略を打ち出せるか、今後の動きが注目される。

