世界銀行は4月8日、タイの2026年GDP成長率見通しを従来予測から大幅に引き下げ、1.3%とする最新の経済見通しを発表した。中東情勢の悪化に伴うエネルギー供給リスクが、タイ経済の成長を押し下げる主要因として指摘されている。
タイはエネルギー輸入への依存度が高く、原油や天然ガスの調達を中東地域に大きく頼っている。ホルムズ海峡の通航リスクが顕在化するなか、エネルギー価格の高騰が製造業や物流コストを直撃し、企業収益と家計の双方を圧迫している構図である。
国内ではディーゼル価格がリッター50バーツを突破し、漁業や物流業界が悲鳴を上げている。LNG価格も前年比で91%急騰しており、年末には電気料金が1ユニットあたり4.9バーツを超えるとの試算も出ている。エネルギーコストの上昇は消費者心理にも影を落とし、ソンクラーン期間中も「自宅待機」を選ぶ人が最多という世論調査結果が報じられたばかりである。
民間の証券大手も同時期にGDP予測を1.3%へ引き下げており、インフレ率3%、政策金利0.75%引き下げという見通しを示した。官民双方の予測が一致する形で、タイ経済の先行き不透明感が一段と強まっている。
アヌティン首相は施政方針演説でエネルギー危機と経済再建を柱に掲げたが、世界銀行が示した1.3%という数字は、政府が掲げる経済回復シナリオに対する厳しい現実を突きつけたものといえる。エネルギー安全保障の確立が、タイの成長軌道を取り戻すうえで最も急務の課題となっている。