バンコクの警察が、SNSでの偽のロマンスを使ってタイ人女性を麻薬の運び屋に仕立てていたナイジェリア系の密売組織を摘発した。押収されたヘロインとコカインは末端価格で2,500万バーツ(約1億2,000万円)を超える。甘い言葉で信頼させて国境を越えた危険な運搬を担わせる手口で、外国人コミュニティへの供給もねらっていたという。
フェイスブックの「恋人」が運び屋の入り口だった
捜査関係者によると、タイ人の女は「Mc General」と名乗るナイジェリア人と、フェイスブックやWhatsApp上の偽の恋愛関係を通じて知り合った。やり取りで信頼を築いたあと、隣国への「お使い」を頼まれるようになり、いつしか麻薬の運び屋へと引き込まれていった。
女はこれまでに約3回、運搬の任務をこなしたとされる。ノンカイ県のメコン川沿いの非正規ルートから長尾船で対岸の隣国へ渡り、ホテルで麻薬を受け取ると、複数の乗り物を乗り継いで戻ってくるという、手の込んだ段取りだった。
コーヒーやスナックの袋に隠した1億円超の麻薬
押収されたのはヘロインとコカインで、コーヒーの袋やスナック菓子の袋に紛れ込ませてあった。末端価格は2,500万バーツを超えるとみられる。逮捕されたのは、ナイジェリア人の男2人とタイ人の女の計3人。男の1人はサムットプラカン県のモーターウェイ9号線の料金所で、もう1人と女はバンコクのラムカムヘン地区で、それぞれ身柄を確保された。
摘発にあたったのは犯罪抑圧部や人身取引防止部、ノンカイ県の出入国管理局などだ。組織の一人は摘発の直前、タイで暮らす外国人コミュニティにコカインを売りさばこうと計画していたという。
ロマンス詐欺と麻薬の危うい接点
恋愛感情につけ込んで人を操る「ロマンス詐欺」は、これまで主に金銭をだまし取る手口として知られてきた。今回の事件は、その心理的な手口が、麻薬の運び屋という一段と重い犯罪の入り口にも使われ得ることを示している。
知らないうちに国際的な麻薬密輸に加担させられれば、運び屋本人も重い罪に問われる。SNSで知り合った相手から国境を越える「荷物運び」や「お使い」を持ちかけられたら、それは甘い誘いの皮をかぶった罠かもしれない。