タイ南部プラチュアプキリカン県の寺で、60歳を超える住職にほぼ毎日お金をせびり続けていた麻薬常用の夫婦が、6月14日に逮捕された。最初は1回40〜60バーツだった無心が、しだいに100〜200バーツへとつり上がり、1日に何度も寺を訪れるようになっていたという。たまりかねた地元住民が村長を通じて警察に通報し、再び住職に金を求めに来たところを取り押さえられた。
住職への「無心」が連日のたかりに
事件があったのは、サムロイヨート郡ライカオ地区にあるワット・サムロイヨート。この寺の住職プラクル・パンヤチャヤポン師(通称アジャン・ナ)は60歳を超える高齢で、夫婦は寺の近くに住み、以前から窃盗や地域の薬物に関わっているとうわさされていた。
住民が最も我慢ならなかったのが、住職への金の無心だった。1回あたり40〜60バーツ(約200〜290円)から始まったものが、やがて100〜200バーツ(約490〜980円)へと増え、しかも1日に何度も繰り返された。高齢の住職や寺で暮らす人々にとって、これは大きな負担であり、精神的な圧迫にもなっていた。
住民が動き、金を求めに来たところを逮捕
見かねた住民は、村長のチャトリ・トンバイ氏に相談し、サムロイヨート署の警察と連携した。夫婦が再び住職のもとへ金を求めて現れたところで、警察が身柄を確保。尿検査の結果、2人の体内から薬物反応が出たため、立件されることになった。
寺と住職を狙う行為に地域が憤り
タイでは、寺は地域の信仰と暮らしの中心であり、住職は厚い尊敬を集める存在だ。その住職を相手に、断りにくい立場につけ込んで金を引き出す行為は、地域社会にとって見過ごせないものだった。今回は、住民の「もう我慢の限界だ」という声が、事件の解決につながった形だ。
タイの寺では、お布施やさい銭箱を狙った窃盗、僧侶を言葉巧みにだます詐欺などの被害がたびたび報じられてきた。信仰の場であるがゆえに人の善意が集まりやすく、それを悪用しようとする者も後を絶たない。地域の目が行き届くかどうかが、こうした被害を防ぐ最後の砦になることも多い。